NPO・NGOの現場からうまれた文献のbook review

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C1202310 矢口琢万さん (8sqqyv75)2023/7/16 13:10 (No.848493)削除
就労困難者の支援――成澤俊輔『大丈夫、働けます。』(ポプラ社、2018年)評
 本書は、日本には精神的な病気や家庭環境によって、働きたくても、思うように働けない方は3000万人以上の就労困難者を支援する内容である。一昔前に比べたら、就労支援には優しくなっていると言われているが、まだまだ就労支援の改善の余地はあると考えられている。
石塚弘基さんはマルチタスクをする作業が苦手だった。しかし、一つの作業に対する集中力は人一倍あった。その為、優先順位をつけずに作業する事の出来る「インターネット上のパトロール業務」をしている。その仕事は、誰かの補助的な仕事ではなくて、職場の誰もが「戦力になっている」と思えるような仕事を任されている。FDAのカリキュラムの一環としてディスカッションをしたことでコミュニケーション能力に自信がつき、職場の円滑なコミュニケーションに役立っている。FDAは「自分には何が出来て、出来ないのか」を理解して貰うために取り組んでいる。自分だけで出来ない事をどうにかしようとするのではなくて、周りにも自分の出来ない事を理解して貰う事が重要だと考える。自分の苦手分野を失くすように取り組むのではなくて得意分野を伸ばすことで会社の相乗効果に繋がっていく。
FDAは主に2つの活動がある。
一つ目は就労困難者の働き続けられる環境づくりである。土日や祝日にも沢山のアクセシビティを計画してプライベートの充実を図っている。プライベートが充実することで仕事にも更に精を出す事が出来ると考える。
二つ目は、利用者の人生そのものが豊かになるためのお手伝いをすることである。具体的には、一緒に目標を作るであったり、とことん褒めるであったり、利用者に寄り添う姿勢を大事にして取り組みを進めている。
 この新書を読んで、就労支援者は自分の強みに自信を持てずにネガティブになり、就労する事が困難になってしまっているのではないかと考えた。自分の強みを活かしてくれる企業はあると自信を持って生きることが重要だと考えた。(844字)
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C1221425 鈴木大翔さん (8sme2cgh)2023/7/13 11:58 (No.845480)削除
メディアを通じた地域の形成ーー河井孝仁・遊橋裕泰『地域メディアが地域を変える』 (日本経済評論社、2009年)

 私達の持つ空間には、インターネットと言うものが含まれるようになった。しかし、それが生活の一部になり得なければなんの関係性を持たないものとなってしまう。そこで本書では地域メディアを活用することにより、地域活性化を持続的にすることや生活の発展の糸口にすることを論じている。複数の事例と地域活性化に結び付ける構造への意識が特徴的な書籍である。
 本書では、度々ヴァルネラビリティ(誘発力)と言う言葉が登場する。これは、弱さや不完全に関わる概念である。この概念を持つ人が地域活性化におけるキーパーソンである。ではこの概念を持つ人をどのように誘致するのか、さらに地域の中でどこに位置付けるのか。ここに工夫や地域ならではの捉え方が重要であると論じられている。
 さらに、「地域」と言う実体があるかわからない場所に「価値」を生み出す。ここに地域メディアは有効な手段となり得るが地域活性化を成功する絶対の方法ではない。メディアを通じても地域活性化が起きなかったまたは持続性の持たない地域はあるからである。では、誰に向けて何を目的とした発信であるのかを大事にするべきだと考えられる。講義内でのミッションにあたるものだ。
 個人的には、「人、モノ、コト」のそれぞれをどのようにつなぎ合わせるのかと言う視点でこの本を読むと面白いと感じた。例えば、人と人。ヴァルネラビリティと言う概念を持つ人と地域活性化を図る人、それらを見える化し出会いをコーディネイトする人どれも必要であり相互作用することで効果を見出せると言えるだろう。もっと言えばどこに比重をかけるのか、地域の中心をどこに移動させるのかである。さらにメディアと言うモノを使って実際に見えない場所のコトを知ることで新たなコミュニティ形成が行われ人と人が繋がるなど多様な視点から考えることができる。
 地域活性化に必要な『人』を生み出すのは地域の特性なのだろうか。さらにそういう人を意図的に生み出すことは可能なのだろうか。ぜひ地域活性化に興味がある人には本書を手に取ってもらいたい。 (847文字)
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C1220302 伊藤なごみさん (8sm9y3uz)2023/7/13 10:03 (No.845365)削除
ブラックバイトの実態――今野晴貴『ブラックバイト 学生が危ない』(岩波新書、2016年)

 本書は、2016年1月に起きたアルバイトの男性が、労働災害になるほどの長時間労働を強いられていた事例から、ブラックバイトの特徴や対策などについて論じているものである。
 ブラックバイトとは、非正規雇用のアルバイト・パートスタッフに対して、過激な業務や、過激なノルマ強要など、劣悪な労働条件で酷使するアルバイトを指している。ブラックバイトは社会問題となり、多くの学生がアルバイトにも関わらず過重労働に悩まされている。ある学生の事例では、お小遣い稼ぎのためにアルバイトを始めたが学校にも行けなくなり死まで追い詰められた話である。アルバイトを始めた当初は決して悪い環境ではなかったが、繁忙期や人手不足により勤務が過酷化したという。辞めたくても辞められない環境にいることや、店長からのパワハラもあり学生は大学の単位をすべて落としてしまった。しかし、「ブラックバイトユニオン」に相談に訪れたことで、辞めることができた。ブラックバイトのもとで学生は、「中心的労働者」のように、学生生活全体がアルバイトに支配されている。
 ブラックバイトが広がる最大の背景には、学生の貧困と奨学金の問題もある。大学生がアルバイトをしている理由として、生活費を稼ぐことや学費を稼ぐためにアルバイトをしていることが「ブラック企業対策プロジェクト」のアンケート調査で分かった。ある事例から、経済的な事情で、ブラックバイトを辞めることができず、不当な労働を強いられる事によって支配をより強固にするのである。
 ブラックバイトは私たちの身近にある。労働問題を見直すきっかけが日本にできたはずだったがまだ改善はされていないと感じる。「ブラックバイト」と呼ばれることのない労働環境になれば、学生たちは創造的に働くことができるだろう。ブラックバイトの見分け方やもし自分がブラックバイトを辞められずに悩んでいる人がいたら本書を手にとってほしいと思う。 (792文字)
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C1201517 須藤琢郎さん (8slt3u6p)2023/7/13 02:11 (No.845155)削除
格差社会がもたらす自殺問題――中村智志『命のまもりびと 秋田の自殺を半減させた男』(新潮社、2017年)

 この本は、自身が経営していた会社が倒産し自殺に追い込まれた経験がある佐藤久男がNPO法人「蜘蛛の糸」を立ち上げ、経営者としての知識を活かしながら独自の手法で秋田県内の経営者の自殺率を半減させた体験談に基づくものとなっている。
 佐藤は、子供たちに「どんな危機に瀕しても自殺はしない」と固く誓っていたが何かにコントロールされるように死に追い込まれる。我に返った佐藤は死と生は遠く離れているものではなく隣り合っていることを思い知らされる。自分の他にも苦しんでいる経営者がいるはずだと思った佐藤はNPO法人「蜘蛛の糸」で経営者たちの相談にあたり始める。
 佐藤は、他人の自殺を無理に止めたりせず、相手の意見を尊重する。また、自殺を乗り越えたら終わりというだけでなく相談者に寄り添って、その後どのように自殺に直結しない生き方をしていくのか共に模索していく。
 佐藤は自殺者をゼロにできるともゼロにしたいとも思っていない。本文中の佐藤の社会観でも「人間には、自分の命を守る自由と共に自分で命を絶つ自由もある。自殺を否定するわけでもないし、自殺がダメだという価値観には立たねえんだ。」と、あるように自ら蜘蛛の糸につかまって助かりたいかどうかは自殺を止める側ではなく自殺をしようとしている本人が決断する問題であり、他人が容易に評価できるものではない。ただ、その中でも食い止められる死、避けられる死を防ぎたいと佐藤は語る。
 自殺は社会問題として秋田だけでなく全国的にも深刻な問題となっており、命の問題と向き合ってきた民主党の山本孝志と、NPO法人「ライフリンク」の清水康之によって自殺対策基本法が成立される。自殺対策基本法のベースとなっているのは「秋田モデル」と呼ばれる「民・学・官の連携」が特徴の自殺対策である。佐藤はこの基本法について「大学は頭、民間は手足、行政は血液」と例えており、それぞれの機関が自らが得意とする役割を果たすことで効率的かつ迅速に対応することができる。
 現在の自殺問題に対しても自殺が起こる背景・原因を分析した上で、それを解決するための対策や機関の見直しをしていく必要がある。 (878文字)
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C1212076森涼平さん (8ey2pcgi)2023/7/4 16:33 (No.836078)削除
久世芽明里 新潮新書 コンビニは通える引きこもりたち
本書は、引きこもりについて、引きこもり自身や、親も含め周囲が何をすべきかについて書いている。周囲の対応の変化とともに、引きこもり自身も変わっていく、という、引きこもりの多様性について論じているものである。
引きこもりはずっと家にいる・家から出ないイメージがあると思うが、内閣府が発表した調査で「趣味の用事だけ外出」67.3%「近所のコンビニなどには出かける」22.4%と、実はほとんどの人は外出している。引きこもりのきっかけは不登校というイメージがあるが、内閣府の調査ではそれは18.1%だった。他は、仕事に就いた後や、就活でつまづくといった原因も。
子供、自分が引きこもりになったら病院や就労機関施設、児童福祉機関などに相談している。行動に移せなかったり、恐怖などで親のみの来院などもあり、中々思うように進まない。ただ、解決には本人の来所が必要で、病院も、就労施設も来てくれないと支援を受けれない。
引きこもりには色々なケースがあり、きっかけや要因も様々。問題はそれが長引き・固定化し、動けなくなってしまうことだ。引きこもりの大半は家族と同居。引きこもりの殆どに親と関係性あり=「親にできることがある」ということ。親が適切な支援をすればステップアップできる。忘れては行けないのは「引きこもりが長期化するリスク」は高まり続けているということ。ニュースターと事務局は「1歩進んで2歩下がっても、動いたのは3歩」と伝えているそう。どれだけ進んだ<どれだけ動いたの方に価値がある。
このままの状況が進むと、ともかく今後は、世代の人口の少なさ・人手不足の時代の後押しもあり、若いひきこもりは間違いなく減少するであろう。引きこもり相談が昔よりも身近で親世代にも知られているので仮に引きこもっていたとしても、解決に向かいやすいと考えられている。しかし、中高年引きこもりの問題はますます大きくなる。本当に解決策が難しく、残念ながら行政の支援が中心にならざるを得ない印象だ。
(838文字)
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茂木暖花さん (8rqxqca6)2023/6/21 11:40 (No.820299)削除
体と行動を現金化する ーー坂爪真吾『「身体を売る彼女たち」の事情』(ちくま新書、2018年)

 本書は、貧困、DV、虐待、家庭問題、障害などを抱えている女の子たちがJKリフレや風俗やデリヘルで働く現状を論じているものである。
 JKリフレ、風俗、デリヘルについての説明から実際の内容や彼女たちの考えまでが詳しくかかれている。危険性を訴えることしかできない大人たちと危険な目に遭ってもやめない彼女たち。「絶対やっちゃだめ」と言われているものだが、この本を読めばそれが間違っているのかもしれないと感じさせるくらいだった。実際の女の子のセリフで、「与えられる仕事ではなく、自分で仕事を作る」というものがあった。働いている子たちは単にお金を稼ぐために汚い仕事をしているわけではない。だが、「普通の仕事に戻れる気がしない」と嘆いている子たちもいた。今の世の中では汚れた仕事に思われ、そういう仕事をしていると恥ずかしくて言えないという子がほとんどだろう。親に反対され、周りの目も冷たくなる。だが、自分の学費のために働いていたり、生活をするために彼女たちも必死で働いている。JKリフレに関しては、サービスは嫌なことは嫌だと断ることもできる。犯罪だということはしないしプライベートでも会わないと彼女たちはしっかり芯をもっていた。
私も少なからずデリヘルや風俗で働くと聞いていい気はしない人間だったが、この本をきっかけに彼女たちの目線で色々なことを知れてイメージが一変した。彼女たちは嫌々しているわけではない。むしろその仕事に居心地がいいと感じている。世の中は色々な法律で彼女たちの仕事を減らし続けていっているが、これ以上働くところを減らしても、援助交際が増えるだけでなにも変わらないと考える。今の自分ではしたいとは思わないが、万が一お金に困ったときこういう店で働くのもいいのかもしれないとこの本のおかげで思うことができた。(800字)
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滝口克典さん (8e7vk6zw)2023/5/29 18:39 (No.798145)削除
語られるNPOの本質論――村井雅清『災害ボランティアの心構え』(ソフトバンク新書、2011年)評

 本書は、3.11以後、私たちの日常の一部と化したかに見える災害ボランティアという存在について、被災地NGO協働センター代表を務める著者が、豊富な実践事例に基づいて、その意義や可能性を論じたものである。とりわけ、私たち自身が当事者ともなった東日本大震災の事例が身につまされる。
 本書によれば、著者たちは、私たちが停電の暗闇の中で何もできずにうろたえていたのとちょうど同じ頃に被災地へ先遣隊を送り、また電気復旧後、私たちが生活物資を少しでも多く確保すべく列をつくっていたのとちょうど同じ頃に本県内外で避難者支援を本格化させたという。県内の災害支援NPOの人びともまた当時同じように考え動き始めていたわけだが、正当な手続や申請がなければ動けない行政やその下請機関とは異なり、自分たちの頭で何がニーズかを考え、その充足に向けて行動するアクティヴィズムが、彼らのようなNPOの本質にある。そうした本質論が東日本大震災という共通体験を素材に縦横に語られる本書は、私たち東日本の人びとにとっての格好のNPO入門となっている。
 とはいえ、災害支援NPOの前途は多難だ。震災直後、「初心者は被災地に行くべきでない」という「迷惑ボランティア」言説がマスコミを中心に広がった。その効果もあってか、災後一貫してボランティアは不足しているという。本書はこれを批判、各自が自分の頭で思考し行動する「十人十色」のボランティアだからこそ現地の多様なニーズに応えることができる、ゆえに初心者も押しかけていい、と論じる。
 評者の目には、被災しなかった自分には被災者を助ける道義的義務があるのではという人びとの葛藤やそれに由来する不安を、「いや、あなたは何もしなくていいんだよ」と慰撫し、無為を正当化してくれるものだったがゆえに「迷惑ボランティア」言説は普及したように見える。「あなたは何もできない、ゆえにしなくてよい、他の誰かに任せるべき」――かような甘言が、あれほどの震災を経てなお、私たちの社会には蔓延している。あの言葉に安堵した「あなた」にこそ、本書を手にとってほしいと思う。(870字)
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滝口克典さん (8e7vk6zw)2023/5/29 18:38 (No.798141)削除
商店街はよみがえる?――斎藤一成『100円商店街の魔法』(商業界、2010年)

 中心市街地活性化事業「100円商店街」。要約すると、商店街全体を一つの「100円ショップ」に見立て、そこに位置する全店舗で店外に100円コーナーを設置し集客を図るという商店街活性化の取り組みである。街全体が会場とも言えるため、ユニークな100円商品――「こんなものもあんなものも100円!」――を求めて、客足は商店街の隅々まで及び、さらには個店の店内にまで伸びる。
 これまで全国各地の40以上の商店街で実施され、現在もなお開催地を拡大し続ける、この感染力ゆたかな企画は、もとは、新庄市で商店街まちづくりに取り組む市民団体「NPO‐AMP」(2003年発足、現在はNPO法人)が発案したもの。本書は、新庄市役所職員でありながら、同法人理事長でもあるという「二足のわらじ」スタイルを実践する著者自らによる「100円商店街」入門である。
 そもそも商店街とは、地域社会の生活基盤といえるもの。現在は郊外大型量販店に押されまくっているが、仮にそれらが撤退した場合には、地域の人びとにライフラインを提供できるのは地元の商店街以外にない。当然、商店街の存在意義は「商い」であるから、その存続には個々の商店の収益増大が不可欠である。とはいうものの、従来の行政主導まちづくりは、補助金を使ったイベントで集客には成功するものの、それを商店街の収益につなげることには失敗し続けてきた。
 「100円商店街」がユニークなのはまさにこの収益増大の達成という点だ。補助金には頼らず、自分たちの街は自分たちで何とかしていこうという気概。その上で、店主たちのやる気を巧みに引き出し、それぞれが創意工夫に乗り出しやすい環境を整える。お茶屋の「抹茶シフォンケーキ」や理容店の「眉毛カット券」など、ユニークな「100円商品」群はその結晶だ。
 山形発の価値が全国区でも高い評価を得る機会が重なっておきた「山形現象」。まちづくり版「山形現象」の全貌がここにある。(809字)
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C1201061 佐々木啓人さん (8ezkd2zb)2022/8/3 23:59 (No.494591)削除
生活者目線の支援策探る――中村智志『命のまもりびと 秋田の自殺を半減させた男』(新潮社、2017年)評

本書籍は、自殺率全国ワーストワンの時代が続いていた秋田県で、後の「秋田モデル」となる「あきた自殺対策センターNPO法人蜘蛛の糸」の活動と、会社の倒産とうつ病を乗り越えて蜘蛛の糸を設立した佐藤久男さんに焦点を当てたものである。
 相談者に対して佐藤久男さんは耳を傾けることでその人の見えなくなっている潜在的なものを引き出していって、そこから得られた内容を整理して生きたい感情を増幅させていく手法を取っている。また、民・学・官で連携を取ることによって、適切な機関へと繋ぐ橋渡しにもなっている。あとがきにもある通り彼の活動は「点の活動」であり、この点こそが相談者にとっての生きる理由なのである。
 プロローグの一節のように「瞬間的に訪れる死への衝動」を理性で押しとどめるのは難しい。瞬間的な死への衝動にも原因があるが、自殺志願者には原因を把握して改善するだけの心の余裕がないために見落としている。彼らは蜘蛛の巣に絡まっている状態である。その中に佐藤久男さんのような微妙な人間の心の状態を聞いて、相談者に光を与える「糸」を垂らすことで、生死の蜘蛛の巣から抜け出すことが可能となる。
 佐藤久男さんに限らず、誰であっても助けを必要とする人のための蜘蛛の糸になれる、そんな側面もあるように思う。彼は相談者の話を聞き、生きる理由を見出して明日につなげていく一連の行動を取っていて、それは読者であっても可能だ。ここから共助の精神が見えてくる。本書籍を通して我々は自殺志願者を一人にさせない仕組みや環境づくりが必要であって、それと同時に蜘蛛の糸のような縦の連携した体制で受け入れていくことも求められる。そういった好循環を作り出していくきっかけが蜘蛛の糸にはあると私は考える。
C
C1201061 佐々木啓人さん (8ezkd2zb)2022/8/4 00:35削除
字数の記載を失念しておりました。申し訳ありません。
(720字)
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C119014A 池田詩穂さん (8ezj8zch)2022/8/4 00:23 (No.494622)削除
地方と都会、双方の良いところの可視化ーー高橋博之『都市と地方をかきまぜる「食べる通信」の奇跡』

この本の著者である高橋さんは、もともと岩手県の県議会議員をしていた人であるが2011年7月に辞職願を提出し県知事選挙に出馬するも、落選。6年間続いた後援会を解散し、政界引退を表明。銀在籍中に行った、「車座座談会」の経験から被災地をはじめとする東北の一次産業を元気にするため、歳市民と地方の生産者を「つなぐ事業」を始めた方であり、後に一般社団法人日本食べる通信リーグを創設し、その代表理事となられた方である。
高橋さんは、消費者と生産者をつなぐ事業を行うために、何度も東京と東北の農業村を行き来し、双方のいいところ悪いところを考えた。東京は人目が気にならないところや人と関わる煩わしさが少なく、気楽であるが、孤独な世界である。地方は家族や親戚など人づきあいが多く、人と関わる煩わしさはあるが、いつでも知り合いが近くにいるということで、安堵感を感じることができる。
都市市民は、自由の奴隷ともいうべき檻と生きる実感の喪失という檻に囚われている。地方の人間と比べ、どんどん頭でっかちになっているのだと、養老孟子さんは言う。都会ではお金を出せばほぼ大体のものは手に入る。しかし、そのものがどのようにして作られたのか、誰がそれに関わっているのかはわからないのである。
本書では、そこに観点を置き、食を通じて地方と都市との繋がりを作り、それによって都市市民が囚われている檻を壊し、社会を作り上げようと考える本である。海や土から遠く離れてしまった人のことを、ふるさと難民と呼んでいる。著者は「食べることは自然との唯一の接点」だと述べている。自然の中で生きている人達は、「自分と自然は一緒なのだ」という考えを持っている。ふるさと難民の人達の食べ物や食べるということに対する感覚を変えることができれば、檻を壊すことはできるのではと思う。
本書にあるように、食を通じて関係人口を増やし、ゆくゆくは地方の人口を増やすきっかけになるのではないだろうか。
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