NPO・NGOの現場からうまれた文献のbook review

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柴山真奈さん (8t5dk87v)2023/7/26 18:51 (No.857879)削除
湯浅誠『ヒーローを待っていても世界は変わらない』
(朝日新聞文庫 2012年8月)

この本では、民主主義とは、多様な人々の異なる意見を闘わせつつ、互いに調整しなければならないものであり、今の日本社会の現状と課題について記されている。
私の思い通りと、誰かの思い通りは同じわけではなく、互いに自分の意見だけを通して、相手のことを考えないと結局、誰も幸せになれないと感じました。グレーゾーンの中で自分が出来る最良の方法は何かというのをすごく考えされされました。それぞれの立場で正論がある中で、自分と違う正論を切り捨てて良いわけではないのではないかと思いました。なかなか物事が決まらない上に、様々な妥協を強いられる中で決めなければいけないため、ストレスが溜まり、自分の思い通りになるように誰か決めてくれと願うようになり、ヒーロー待望論が出現するようになるのだと感じました。民主主義は、全てのお願いを叶えるようなことはできないのし、政治は多数派で動くため、少数派の考えが置き去りになることがある。しかし少数派は声を挙げろといわれても、それを考えるための場と時間がなく、主権者じゃないようにふりまってしまい、それを救うヒーローに期待してしまう。ヒーローは期待に応えて、反対者を叩き、即断即決で物事を決めていく。私たちは民主主義の面倒くささに疲れ、自分のいいように、他人のいいように考えられないようになり、システムを引き受けきれなくなっているのではないかと思いました。
民主主義は手間のかかる作業で、面倒くさく感じてしまうが、それを放棄してしまったら民主主義である意味が無くなってしまうと思いました。これは1人の力で変わるものでは無いが声を上げることで少しづつでも確実に社会が変わるために必要なのではないかと思いました。
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C1210870 小林碧さん (8t581ofl)2023/7/26 18:45 (No.857873)削除
人から人へ伝える――河合孝仁・遊橋裕泰『地域メディアが地域を変える』(日本経済評論社、2009)
 本書は、地域活性化とは何かを知り、地域メディアがどのように活用されているのかを5つの実例を通してみていく。
 第2章から第5章で活用の事例を紹介している。写真や図が多く、実際の活動を言葉としてだけでない視点から見ることが出来る。第1章では地域の抱える課題や地域メディアの可能性、地域活性化とはなにかを論じている。第6章、第7章では現状や著者らの結論が図やグラフなどを用いて記されている。メディアの利用によって地域が活性化していくのではなく、地域メディアをうまく利用できる「人」の存在が必要である。また、それは一人で行うのではなく様々分野の「人」が連携・コミュニケーションをとっていくことでよい方向に向かっていく。複数事例をみても、一人、一団体ではなく複数の事業体や専門家などが関わっている。
 地域メディアは、その地域のこれまでを「見える化」し、参照しやすくするためのツールの一つである。SNSやブログを利用したから街に活気が戻るわけではない。さらに、メディアそのものに優劣はない。その活動それぞれに有効な媒体があり、活用の仕方がある。メディアが「魔法の道具」ではないことを強調している。
 昨今大学で何かを世間に周知させるにはSNSや動画配信サイトを活用するという提案が多い。しかし、それをしたから変化が生まれるという結果にはならないであろう。メディアというのは、それぞれが自主的に利用しなければ人の視界にも入らない。例えばテレビは持っていても見ているチャンネルで内容が変わるし、twitterやインスタグラムなどSNSは発信元をフォローしなければ基本的に情報は入ってこない。とはいえ、一度メディアに取り上げられた内容は原則アーカイブ化され見えるようになる。この性質を利用して過去をさかのぼれるようにすることに対しては重要なツールである。メディアは、人から人へ物事を伝えるためにある。それは過去を知るだけでなく、未来に伝えることもできるのである。「伝える」ためのツールの一つに過ぎないことを忘れてはならない。(837字)
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C1200529 岡村鈴蘭さん (8t5a3g2z)2023/7/26 17:14 (No.857801)削除
加害者の自覚意識ーーー『いじめと探偵』阿部泰尚(幻冬舎新書、2013)

著者である阿部泰尚さんは、1977年東京都中央区で生まれた。T.I.U総合探偵社代表であり、日本メンタルヘルス協会公認カウンセラーになっており、東海大学を卒業している。国内唯一である長期探偵専門教育を実施しているT.I.U探偵養成学校の主任講師・校長も務めている。
この本では、2004年から探偵として初めて「いじめ調査」を受件し、以降約250件いじょうのいじめ案件を手がけ、セクハラ・パワハラ被害者が被害の証拠を残すために行う当事者録音において日本随一の技術を使って収束・解決に導いた結果が書かれている。
いじめの中でも使いっ走りや仲間はずれといった軽度のいじめから重度の暴力やカツアゲ、中学・高校生による集団クラスメイト・レイプといった極めて悪質ないじめが存在している。1番初めに受けた調査では親からの電話で「娘が不良になった理由を調べてくれ」と言うもので、真面目だった娘が万引きをして捕まり、親が異変に気付いて調査依頼をすると言うものだった。このような親が異変に気付いてくれる場合はいいが、いじめを受けている子どもたちはほとんどが親に真実を話さない。調査で知り合った子供になぜ話さないかの理由を尋ね、1番多く挙げられたのは忙しそうだからと言う理由だ。勇気を振り絞りいじめ体験を語っても子どもの言葉に集中して目を見て聞いてくれる親御さんは全体の2割程度にすぎない。2013年に国会では、いじめ防止対策推進法案が設立された。だが、この法律が制定されたことで解決への効力が発揮されいじめ調査の依頼が減少したら嬉しいが、いじめが巧妙化しないかこの本では問題視されていた。
現代ではSNSが多様化された中でいじめが減少するのは難しいのではないかと私は思った。加害者の自覚し、よくないことと気づけるのが1番いいが、そのような環境がない限り、いじめ探偵といったNPO・NGO活動はなくてはならない活動である。(797)
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C1210870 小林碧さん (8t581ofl)2023/7/26 16:17 (No.857755)削除
ずっと暮らしていけるように――木村真樹『はじめよう、お金の地産地消』(英治出版、2017)
本書では、NPOやソーシャルビジネス向けのNPOバンクについて描かれている。営利目的ではないNPO等の活動は既存の金融機関からの融資を受けにくい現状がある。その問題を解消するためにうまれた。ここで元手となるお金は市民からの寄付金などの「志金」であり、地域からお金が地域のために還元されるお金の地産地消が行われている。その地産地消の重要性を呼びかけているのがこの本である。
NPOバンクmomoでは、低金利・無担保で融資している。NPO団体などは、そもそも利益を追求していない活動団体がほとんどで、そのような活動団体に金融機関はお金を貸し出さない「貸し渋り」を行っている。リスクを背負いたくないのだ。さらに信用金庫や信用組合では預貸率が著しく減少していて、これは社会・地域のためにお金が使われていないことを意味している。地域のためにと活動したい人たちが資金不足で活動が出来ないということを減らしていく役割がNPOバンクには備わっている。そのために、徹底的に事業活動について聞き、信頼できる範囲で、貸して終わりではなくその後の活動を支援することも行う。このようにアフターフォローも欠かさない姿勢のためか、失敗するといわれていたNPOバンクの活動で10年以上貸し倒れが起きていない。近年は金融機関と行政やNPOバンク、コミュニティ財団等が連携しているそうだ。融資が減った機関に、金融機関に勤める人たちの融資先を審査する力が落ちてきたといわれる。事業の将来性をきちんと見分けられる人材を育てるためにセミナー等を行うことも、NPOバンクの仕事の一つになっている。
お金の地産地消によって、その地域内で経済が循環するだけでなく、生活も循環される。地域をより良くしたいと活動する団体が、その地域の人たちからの支えで活動していく。この活動が縁となり新しい活動が生まれ、よりよい街が作られていく。何事も行政機関を頼るのではなく、自分たちのことは自分たちで行っていく姿は、参考にしていきたいものである。また、企業の大きさではなく事業の内容で融資先を決める世の中になってほしい。(855字)
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C1200564 小野桂輔さん (8t57d5wq)2023/7/26 15:58 (No.857731)削除
瀬谷ルミ子『職業は武装解除』(朝日文庫、2015)

「職業は武装解除」著者、瀬谷ルミ子さんは、1977年に群馬県で生まれ、子供時代は田舎で生意気な子であった。中央大学総合政策学科国際政策文化学科卒業後は、イギリスブラッドフォード大学紛争解決学修士課程を修了後、様々な紛争地域で国際PKO(国際連合平和維持活動)や外務省、NGO団体で働き現在、認定NPO法人日本予防センターで事務局長を務めている。
著者の仕事は本のタイトルでもある武装解除、武装解除という言葉は日常的には使わない言葉であるため、初めて仕事を教えた人には、日本だけでなく世界中の人に過激派系の危ない人なのではないかと疑われてしまう。この職業は世界にある紛争地域で、戦いが終わった兵士たちから武器を回収して、一般市民として生活できるように職業訓練などをほどこし、社会復帰させるという仕事である。著者がこの仕事を目指すきっかけとなったのは高校3年生の春に新聞に掲載されていたルワンダの難民キャンプで撮影された親子の写真である。コレラで死にかけている母親のそばで3歳くらいの子供が泣きながら母親を起こそうとしている。著者はこの写真をお菓子を食べながら見ていた。何故?という疑問が著者の中に生まれた瞬間だった。なすすべなく命を落としていく人々の様子と自分を見比べ、自由に行動する権利が自分にはあると気づき、人生を自分の手で変えられる、その権利は、世界のだれもが持っているわけではない。できることから少しずつやってみようと小さな決意を積み重ね行動し、現在の仕事に行きついた。
この本で著者は、「和解」という言葉は「凶器」になると語っている。和解という平和的イメージのある言葉がなぜ凶器という人を傷つける言葉に変化してしまうのか、紛争において家族を失った人にとって和解など到底受け入れられるものではない。軽率な発言は時に人を傷つける凶器になってしまうとこの本にはある。
多くの紛争地で著者は多くの失敗をしている。しかし行動しなければ何も変わらない。この本はそんなことに気づかされる1冊である        (855字)
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c1200475 大沼祐太さん (8t56xhog)2023/7/26 15:46 (No.857722)削除
いとうせいこう 『「国境なき医師団」を見に行く』 講談社 2017年

本書は、いとうせいこうさんという日本のヒップホッパー、タレント、小説家と幅広く活躍されている方が著者である。今回は2016年に著者が「国境なき医師団」を見に行き、実際に触れたことを記した本である。初めに、「国境なき医師団」とは正式名称は「MEDECINS SANS FRONTIERES」で「MSF」と略されることが多い。民間で非営利の医療・人道援助団体の事で、紛争や自然災害、貧困などにより危機に直面する人びとに、独立・中立・公平な立場で緊急医療援助を届けている。医療援助と言うと紛争国や天災に遭った地域に行くという印象が強いと思うが、貧困の国や性暴力で苦しむ地域など幅広い場所にいた。著者が初めに行こうとしていたパプアニューギニアでは男性の性暴力への対策として啓蒙活動を続け被害者女性の身体だけではなく精神的、社会的ケアが行われていた。私は怪我や病気に苦しむ人々を助けていると思っていたが、精神的な病気まで援助していると聞いて驚いた。今回著者は数ヶ国を回ったがその代表としてハイチでの記録を紹介する。6年前大震災に見舞われたハイチに筆者はチャリティ活動として来ていた。クラブミュージックやラップで人気だったDJ YUTAKA、Zeebraを中心としたメンバーで楽曲を作成し、その収益をハイチの子供たちに送る活動だった。ハイチは元々奴隷が支配者を追い出し共和国を作ったという世界で唯一の歴史があり、今の「MSF」の援助では納得いかないのだ。理由として共和国を作ったにもかかわらず周りの国に認めて貰えずに生きてきたというれきしがあふからだ。現地に来てハノイの人々に援助を約束して何もしないという現状にハノイの人は援助を信用出来なくなっていた。そのため「MSF」はコレラ対策センターや性暴力被害者専門クリニックなどそれぞれの問題に応じた施設を作ったのだ。まだハノイとの関係を築いてる途中だが、ハノイの人々は台頭の立場で認め合うことを望んでいたと読んで感じた。私は助ける側、助けてもらう側という違いはあるが、どちらも同じ人間として、誰とでも対等でいたいと感じた。

(879文字)
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c1222040布施秀人さん (8t4dddpg)2023/7/26 15:28 (No.857715)削除
不倫の原因とは?――坂爪真吾
『はじめての不倫学 「社会問題」として考える』(光文社新書、2015)

 本書では著書の坂爪さんが「障害者の性」問題を解決するための非営利組織・ホワイトニングを2008年に設立し、新しい「性の公共」を作る、という理念の下、現代の性問題を社会問題として捉えなぜ不倫をするのか、なぜ不倫が無くならないのかを論じている。
 まず、不倫の定義についてだが「既婚者が配偶者以外の相手と恋愛感情を伴った肉体関係を持ち、その関係を継続する意志を相手方と共有していること」とされている。2004年のアメリカの調査によると既婚者で実際に不倫の経験がある人は既婚男性の約2割既婚女性の約1割がしたことがあると回答。これは決して少ない数とは言えない。常識的な考えを持っていれば配偶者がいるのにも関わらず行為に及ぶというのはわかりかねる。
 なぜ人は不倫をしてしまうのか。動機として主に挙げられるのが市場価値の確保である。モテたいというのは人の本能的な部分でもあり多くの人から認められたい生き物である。そういった人の本能的な部分が不倫に繋がっていくのだろう。またパートナーよりも友人を魅力的に感じてしまった、パートナーよりも他の人との相性が良かったなどが挙げられる。やはり性的嗜好が噛み合わないと上手くいかないのだろう。
 こういった不倫という社会問題に対して本書では不倫ワクチンなる対策が挙げられている。不倫ワクチンとはいわば婚外セックスのことであり信頼のおける複数のパートナーと行為を行うことで不倫の欲求を抑えるというものだ。しかしこれらを行う際には夫婦関係、家族関係が円満であり、肉体的、経済的、精神的に充実している場合のみ推奨されている。
 以上のことから不倫ワクチンとは言われているが不倫をなくすためには夫婦関係の円満が結局のところ挙げられる。夫婦関係が良ければ不倫を行う確率が下がり婚外セックスなどを用いたとしてもトラブルは起きにくい。現代はSNSなどの普及もあり不倫がしやすい環境下ではあるが夫婦間でのコミュニケーションを多く用いたり婚外セックスを利用するなどして夫婦間でのトラブルを減らせていければと思う。(854字)
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C1200943 今野彩音さん (8t552f8q)2023/7/26 14:59 (No.857684)削除
一部訂正版

C1200943 今野彩音

三好亜矢子・生江明 編
『3.11以後を生きるヒント 普段着の市民による「支縁の思考」』(新評論 2012年)

この本の著者である2人のプロフィールとして三好亜矢子さんは、1956年に愛媛県で生まれた。家庭通信社記者、ドキュメント・アイズ代表。3.11以後、福島県二本松市の有機農業との交流グループ「てふてふねっと」を創設。援農ツアーを主宰し被害のある地域との関わりを作って来た。生江明さんは1948年に東京都で生まれ、日本福祉大学経済学部教授、社会開発国債調査センター代表として家業の手工業製造業に関わりながら、民衆政治思想を学び、バングラディシュで生計向上プログラムに参加もした。
この本は2011年3月11日に起きた東日本大地震の「支援」について学びを深めることが出来る内容となっている。1995年に起きた阪神淡路大震災がボランティア元年と言われており、この時は被災者や被災地域に対し日本全体が注目し、沢山の人々が被災地へ駆けつけ支援にあたった。この震災からの学びが東日本大地震へ良くも悪くも影響した。東日本大地震では支援に向かおうとする一般ボランティアに対して、現場に混乱が起きることを恐れ、一部の人から「素人」は来るなと言う声が飛び交った。震災直後は「プロ」の出番であると言うメッセージである。危険性を考えての言葉ではあるが、しかし、それが正しいのか。この本では『支縁の思考』を学ぶことができる。実際私たちは各地方で実際起こっていたことや、当時の被災者の心境をメディアを通しての現状しか知らない人が多い。本を読み進めると目に見える所の被害が注目されがちだが、人の『心』と言う目には見えない物への被害が大きいと感じた。2011年5月2日小鎚運動公園弓道場隣の更地に「遠野まごころネット」(現「NPO法人遠野まごころネット」)の支援のもと「まごころ広場うすざわ」をオープン。被災者が心の負担を少しでも和らげ明日への希望を持てる様にと願い始められた。この様にこの本ではただの「支援」ではなく、人と人との繋がりや支え合いを重要とした『支縁』や人の温かさ、被災者の本当の声を知ることができる一冊になっている。(826字)
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C1200943 今野彩音さん (8t552f8q)2023/7/26 14:54 (No.857680)削除
三好亜矢子・生江明 編
『3.11以後を生きるヒント 普段着の市民による「支縁の思考」』(2012年)

この本の著者である2人のプロフィールとして三好亜矢子さんは、1956年に愛媛県で生まれた。家庭通信社記者、ドキュメント・アイズ代表。3.11以後、福島県二本松市の有機農業との交流グループ「てふてふねっと」を創設。援農ツアーを主宰し被害のある地域との関わりを作って来た。生江明さんは1948年に東京都で生まれ、日本福祉大学経済学部教授、社会開発国債調査センター代表として家業の手工業製造業に関わりながら、民衆政治思想を学び、バングラディシュで生計向上プログラムに参加もした。
この本は2011年3月11日に起きた東日本大地震の「支援」について学びを深めることが出来る内容となっている。1995年に起きた阪神淡路大震災がボランティア元年と言われており、この時は被災者や被災地域に対し日本全体が注目し、沢山の人々が被災地へ駆けつけ支援にあたった。この震災からの学びが東日本大地震へ良くも悪くも影響した。東日本大地震では支援に向かおうとする一般ボランティアに対して、現場に混乱が起きることを恐れ、一部の人から「素人」は来るなと言う声が飛び交った。震災直後は「プロ」の出番であると言うメッセージである。危険性を考えての言葉ではあるが、しかし、それが正しいのか。この本では『支縁の思考』を学ぶことができる。実際私たちは各地方で実際起こっていたことや、当時の被災者の心境をメディアを通しての現状しか知らない人が多い。本を読み進めると目に見える所の被害が注目されがちだが、人の『心』と言う目には見えない物への被害が大きいと感じた。2011年5月2日小鎚運動公園弓道場隣の更地に「遠野まごころネット」(現「NPO法人遠野まごころネット」)の支援のもと「まごころ広場うすざわ」をオープン。被災者が心の負担を少しでも和らげ明日への希望を持てる様にと願い始められた。この様にこの本ではただの「支援」ではなく、人と人との繋がりや支え合いを重要とした『支縁』や人の温かさ、被災者の本当の声を知ることができる一冊になっている。(826字)
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c1201813 千葉翔太さん (8t4ekahj)2023/7/26 14:51 (No.857676)削除
ボランティア もうひとつの情報社会――金子郁容著(岩波新書、1992年)

 本書の著者である金子郁容さんはスタンフォード大学卒業後一橋大学の教授として情報、意思決定、ネットワークを専攻している。著書には「ネットワーク組織論」、「〈不確実性と情報〉入門」、「ネットワーキングへの招待」、「空飛ぶフランスパン」がある。
本書は、ボランティアと情報社会ということに着目した本になっている。第1章から、ボランティアの楽しさ、ボランティアのかかわり方、つながりをつけるネットワークプロセス、本来的で豊かな関係性、もう一つの情報社会といった構成になっている。第1章においてはアメリカに住む76歳の男性が、小学校の生徒が貧しくて朝食を食べてくることができないということを知り、朝食を無償で提供する活動を行なったということが書かれている。この男性は友人に手伝ってもらうことなく、児童の親や、家族の人に手伝ってもらい、代わりに食料を無償で提供するといった関係を築いた。この関係性は3章に書かれえているつながりをつけようという相手と自分の関係性を直接的な利害、上下関係、年の差など平面で切り取るのではなく、全てを含んでいる球体として捉えることが必要ということにつながっている。また、相手との繋がりを作るプロセスとして、3つのステップで紹介されており、1つ、自分から動くこと、2つ評価を相手に委ねること、3つ目は動き出した相手にタイミングよく対応することである。このプロセスを得て、情報を発生させネットワークが構築されていく。本書ではボランティアとは、状況を改善に向けてネットワークを作るネットワーカーであると書かれている。またボランティアは魅力的ではあるがなにかおかしなものである。
本書ではつながりから生まれるネットワークに注目して書かれている。ボランティアとして活動する中で他の人とのつながりが生まれネットワークが構築されていくといったこと、自ら選択していくことがボランティアのスタートボタンであり、これからボランティアに参加したいと考えている人に読んで欲しい一冊だ。(867字)
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