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c1200475 大沼祐太さん (8t56xhog)2023/7/26 23:20 (No.858207)削除瀬谷 ルミ子 『職業は武装解除』
朝日文庫 2015年
本書の著者である瀬谷ルミ子さんは題名の通り「武装解除」の仕事をしている。内容としては兵士から武器を回収して、これからの人生を一般市民として生きていけるように職業訓練などの支援をして社会復帰させることを目標としている仕事である。仕事の対象となるのは、国や民間組織関係なくしている。著者は外国と縁もゆかりも無い群馬県の田舎に生まれた。そんな著者が武装解除の仕事に興味を持ったのはある写真が要因になっている。それはルワンダという東アフリカにある国の内戦の様子である。望まない死から逃れられない人々と著者自身を比べて「自由に行動する権利」が自分にはあると気付かされたのだ。当たり前のように思えていた事が幸せな事だと気づいた著者は武装解除と紛争解決の仕事を志したのだ。著者は数々の内戦や紛争地帯で活動をしてきた。その中でも気になったのは2章に書かれている「子ども兵士は加害者か、被害者か」という内容である。12歳の男の子は反政府集団に誘拐され「自分の命」と「父親の腕を切り
落とす」どちらにするか迫られ父親の腕を切り落とした。そのせいで家族から裏切り者扱いされ、反政府集団の仲間にされたのだ。このように子供たちは洗脳されやすく「道具」として扱われるのだ。そんな問題に立ち向かうべく更生施設が作られた。心のトラウマを回復し、社会の一員として生きていくために必要な教育を受けさせるのだ。しかし、戦場でしか自分を見いだせず武器を隠し持っている子がいたり、何も信用できなくなってしまい名前も出身地も嘘をつく子がいる。そもそも子ども兵士として使用していた司令官は罪を問われることを恐れら解放しないためまだまだ支援の課題がある。
このように本書では、武装解除の仕事を通じて今まで戦争に人生を奪われた人達の未来を作っていく活動であり、紛争や内戦を将来的に無くすことにも繋がる大事な職業である。戦争の爪痕をどのように修復していくか、そして平和とはなにかを今一度考えなおす1冊であった。
(827文字)