C
C1211504 髙橋寿成さん (8epj0e64)2022/7/27 23:24 (No.486165)削除ストーカー被害の現状――小早川明子『 「ストーカー」は何を考えているか 』(株式会社新潮社 2014年)
この本の著者小早川明子は1959年生まれで中央大学を卒業。ストーカー問題をはじめDVなどあらゆるハラスメント相談に対処するNPO法人「ヒューマニティー」の理事長を務めている。この本は実際に対応した事例などが書かれている。
今の時代、SNSなどのコミュニケーションの爆発的増加によって人間関係や距離感の取り方が変わりつつある。ストーキングは自分の正当性や特定の相手に対する強烈な思いと怨念に似た感情である。しかし、ストーカー行為とは怖いイメージだが相手に抱く疑問・疑念・要求の回答を相手から直接得ようとする「追求」の表れである。ストーカーは男女の割合でみると実は半分が女性という割合になっている。恋愛からなるストーカー行為が多く、男性は女性のプライベート空間を狙うのに対し女性は公的な場所を狙う。自分の過去に強い不満がある人ほど加害者になりやすい。ストーキングにも種類があって「破恋型」:元交際相手か配偶者に追い求める・「インセント型」:見知らぬ相手から・「ファン型」:著名人に自分をアピールする・「エグゼクティブ型」:社会的地位にある人に近寄る。この4つに分けられ「破恋型」が8割を占めている。問題として別れを告げられた時に怒りが悲しみを勝って悲しみに十分に気づけない、受け止められない、消化できないことが問題とされている。著者の行うカウンセリングの役割は現実を見つめて、現実を受け止めるサポートである。カウンセラーの第1目的は犯罪防止。警察という手段もあるが、後回しにされることが多く、これからの時代は警察との連携も重要である。カウンセラーという相談する人が間に入ることで求める回答が得られストーキングを止めることできる。相手の問題ではなく「相手から離れられない自分」と思い知ることで「追求」は自分への「探求」に変る。カウンセラーはストーキングの「扉」を開く「鍵」を見つけるサポート役ともいえる。
この本を通じて他人事ではなく、自分や身近な人にも起こりえる事と考えて現状を知ってほしい。対処法のようなマニュアルではないが自分が助言者になる場合の知識として活用できると私は思う。(879字)