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C1211875 星駿和さん (8euokcxn)2022/7/31 14:02 (No.489996)削除今野春樹 「ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪」(文藝春秋,2012)
筆者、今野春貴は2006年の中央大学法学部在学中に若者の労働相談を受け付けるNPO法人「POSSE(ポッセ)」を立ち上げ、以来1500件を超える労働相談に関わってきた。また、社会政策や労働社会学を専攻しておりブラック企業や労働条件などの社会問題を扱っている。以前は「自分が悪いのではないか」という相談者が多かったが、最近では「この企業はブラック企業なのではないのか」という質問が増えた。さらには両親や恋人など家族からの相談も多くを占める。またブラック企業のパターンの中でもとりわけ多い相談が離職に関するものが多い。「第Ⅰ部個人被害者としてのブラック企業」ではブラック企業が個人としての若者に対して、どのような害悪をもたらすのかを紹介した。例えば若手社員は「コスト」だと言われ「コスト=悪」だという価値観を内面化させていく。ハラスメントなど様々な方法で精神を追い込まれ鬱病になってしまうのだ。第5章にブラック企業に対し個人として対応の仕方や考え方などが書かれた。「第Ⅱ部社会問題としてのブラック企業」では日本全体にとって「社会問題」であることを訴えている。精神疾患の患者が増えることによって医療費負担の増加が起きてしまう。実際に精神および行動の障害は大幅に増加している。他には生活保護の増大、少子化、消費者の安全崩壊、教育・介護サービスの低下など様々なことに影響している。また、ブラック企業に定義を与えることを避けている。ブラック企業に定義を与えることは想像以上に難しく多くの書籍では「違法な企業」の問題として捉えられている。ブラック企業による若者の「使い捨て」に対し、政策や社会は対策をしているのだろうか。残念ながら遅れをとっていると言っていい。遅れをとる最大の原因は現状に対する認識の誤りだ。ブラック企業の構造を見れば本当にすべき対策が見えてくる。また、ブラック企業に対する社会的戦略が最後に提案されている。この本を読むことで現状や対策を知ることができ、就職に対する意識を変えることができた。(835字)