NPO・NGOの現場からうまれた文献のbook review

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C1211378 鈴木玲哉さん (8euorpx2)2022/7/31 14:04 (No.490002)削除
「ブラック企業と戦え」
(今野晴貴『ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪』文藝春秋 2011年)

 著者である今野晴貴さんは1983年、宮城県生まれ。2006年、中央大学法学部在籍中に都内の大学生や若手社会人を中心にNPO法人「POSSE」を設立し、年間数百件の労働相談を受けている。この本は著者が実際に受けた労働相談からブラック企業と若者の関係性やそれによる社会への影響などについて書かれた1冊になっている。
 近年ニュースでもよく聞くブラック企業が個人に対してどんな被害をもたらすのかとそれに対抗するためにはどうしたら良いか。また、ブラック企業が社会に与える弊害とブラック企業に対する社会的な対策について実際にPOSSEに寄せられた相談内容を紹介しながら分かりやすく論じている。著者の今野さんが言うには“「ブラック企業」という問題を、ただ若者が「ひどい会社」から被害を受けている、とだけ捉えてはいけない。”と述べている。ブラック企業は消費者の安全を脅かし、個人だけでなく日本の経済・雇用システムを破壊してしまう。パワハラや長時間労働によって、鬱病が広がれば国の医療費負担を圧迫する。また、若者が長時間労働や鬱病で被害を受け続ければ少子化が進み、市場縮小や長期的な財政破綻にもつながっていく。ブラック企業は個人だけでなく日本そのものに大きな弊害をもたらすのだ。
 このようなブラック企業に対抗するために著者は戦略的な思考を身に付ける必要があるという。特にパワハラなどに対しては本当に自分が悪いのかを考え、自分が悪いと思いこまないことが重要であるという。また、ブラック企業を辞めても他の人が同じように被害を受けてしまうため、ブラック企業と争うことも大切である。そんなときには専門家やPOSSEのようなNPOに力を借りることも有効である。そうしてブラック企業そのものを無くしていく努力が必要なのだ。
 今後私たちも社会に出て働く時が目の前まで迫ってきている。ブラック企業の恐ろしさとその対抗手段を知るためにもこの本を読んでおくのが良いのではないだろうか。
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C121050Aさん (8euoqrxz)2022/7/31 14:03 (No.490000)削除
『猫を助ける仕事――保護猫カフェ、猫付きシェアハウスー-』 山本葉子 松村徹
(光文社新書 2015)
この本の著者は山本葉子さんと松村徹さんです。山本葉子さんは、NPO法人「東京キャットガーディアン」の代表を務めています。行政による猫の殺処分ゼロを目指し行き場を失った猫たちの新しい親を見つけるため年中無休で活動しています。もう一人の著者の松村徹さんは、不動産マーケットの分析や不動産投資研究の専門でしたが猫を飼い始めたことでペットと住まいの在り方に関心をもったのでした。ちなみに飼っている猫は東京キャットガーディアンから譲り受けたそうです。
 現在では、犬や猫などのペットは私たちの生活に欠かせない存在になりつつあります。さらに、コロナ禍になったことでペットの人気が高まり飼う人が増えています。しかし、飼うことになったのはいいものの経済的困窮や覚悟が足りずに一目惚れでかった人もいてペットを途中で捨ててしまう人がなかにはいるのです。そうした動物たちや野生の中で生きている動物たちが行政の保護施設に引き取られ多くの犬や猫が年間十三万頭も殺処分されているのです。これがこの本で取り上げられている社会問題なのです。
 犬よりも猫の殺処分がはるかに多い中で少しでも減らすために東京キャットガーディアンでは、政府の保護施設から引き取ったり民間または警察から連絡をうけ引き取りにいったりと様々な活動を通して殺処分される猫を救っているのです。そして、救った猫の引き取り手を探すために猫カフェを開設しています。また、大人猫の譲渡数を増やすため猫付きマンションや猫付きシェアハウスといったものを日本で初めて考案したのです。他では思いつかないことを考えつき猫を救うことに貢献しているのです。ぜひ、動物が好きな人でも今まで興味がなかった人にでもこの本を読んでもらい猫の現状を知ってもらいたい。それに、これからペットを飼いたい人でも参考にできることがあるのでこの本を推奨したい。(815字)
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C1211875 星駿和さん (8euokcxn)2022/7/31 14:02 (No.489996)削除
今野春樹 「ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪」(文藝春秋,2012)

筆者、今野春貴は2006年の中央大学法学部在学中に若者の労働相談を受け付けるNPO法人「POSSE(ポッセ)」を立ち上げ、以来1500件を超える労働相談に関わってきた。また、社会政策や労働社会学を専攻しておりブラック企業や労働条件などの社会問題を扱っている。以前は「自分が悪いのではないか」という相談者が多かったが、最近では「この企業はブラック企業なのではないのか」という質問が増えた。さらには両親や恋人など家族からの相談も多くを占める。またブラック企業のパターンの中でもとりわけ多い相談が離職に関するものが多い。「第Ⅰ部個人被害者としてのブラック企業」ではブラック企業が個人としての若者に対して、どのような害悪をもたらすのかを紹介した。例えば若手社員は「コスト」だと言われ「コスト=悪」だという価値観を内面化させていく。ハラスメントなど様々な方法で精神を追い込まれ鬱病になってしまうのだ。第5章にブラック企業に対し個人として対応の仕方や考え方などが書かれた。「第Ⅱ部社会問題としてのブラック企業」では日本全体にとって「社会問題」であることを訴えている。精神疾患の患者が増えることによって医療費負担の増加が起きてしまう。実際に精神および行動の障害は大幅に増加している。他には生活保護の増大、少子化、消費者の安全崩壊、教育・介護サービスの低下など様々なことに影響している。また、ブラック企業に定義を与えることを避けている。ブラック企業に定義を与えることは想像以上に難しく多くの書籍では「違法な企業」の問題として捉えられている。ブラック企業による若者の「使い捨て」に対し、政策や社会は対策をしているのだろうか。残念ながら遅れをとっていると言っていい。遅れをとる最大の原因は現状に対する認識の誤りだ。ブラック企業の構造を見れば本当にすべき対策が見えてくる。また、ブラック企業に対する社会的戦略が最後に提案されている。この本を読むことで現状や対策を知ることができ、就職に対する意識を変えることができた。(835字)
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C1211154 佐藤真純さん (8eukf4hr)2022/7/31 12:02 (No.489909)削除
仁藤夢乃『女子高生の裏社会「貧困の関係性」に生きる少女たち』(光文社新書、2014年)

 家庭や居場所や社会的繋がりを失い、貧困から抜け出せなくなった高校生たちが多く存在している。彼女らは衣食住や関係性を求め、児童買春や犯罪の温床となるような仕事に就く。この問題を他人事として傍観するのではなく、助けを求める子供たちに歩み寄る大人が求められているというのが本書の概要である。
 本書では、居場所を失った高校生という社会問題を取り上げ、第1章から第5章に渡って、実際に「JKお散歩」や「JKリフレ(リフレクソロジー=個室でのマッサージ)」というような「女子高生産業」で働く女子高生たちにインタビューした内容が記されている。インタビューを受けた少女たちの中には、親との関係も良く、進学も決まっているなど傍から見れば「普通」の女子高生もいる。このことも含め、インタビュー内容全てが現実に起こっているとは信じがたいようなもので、まるで、自分とは別の世界の話のように感じる。しかし、私たちがそう感じてしまうのと同じように、女子高生たちもまた、私たちのことを別の世界の人のように感じているのである。彼女たちは助けてくれる大人がいることを知らない。彼女たちはSNSで「泊めてほしい」とつぶやいた時寄ってくるような大人しか、街で風俗にスカウトしてくるような大人しか頼れる存在を知らない。
 この問題を解決するため、著者である仁藤夢乃さんは女子高生サポート支援センター「Colabo」による活動・支援を行っている。女子高生の時、自身も渋谷で夜を明かす生活を送っていた経験から10代の中高生を対象に、定期的に「10代限定夜カフェ」というお菓子や食料を無料で配布する取り組みを開催したり、家に帰れない、帰りたくない子供たちを一時的にかくまう「一時シェルター」などの居場所提供を行ったりしている。
 高校生や中学生が何も知らない、世間知らずなのは当たり前である。だからこそ私たちから歩み寄って、彼女たちと関りをもっていかなければならない。(806字)
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C1200044 赤間亮太さん (8enj7fbk)2022/7/30 19:16 (No.489247)削除
生活保護の正しい理解──稲葉剛『生活保護から考える』(岩波新書、2013年)評

 皆さんは「生活保護」を正しく理解しているだろうか。生活保護とは生活に困窮する人に対し、その困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに、自立を助長することを目的とする社会保障制度の一つである。この制度について著者は「生活に困窮した人が自らの生活を立て直すために制度を利用することは正当な権利であるはずだが、残念ながらマイナスイメージがあり、こうした意識はまだ日本社会では定着していない」と論じている。
 そうした中で本書では、中立的な立場からではなく、生活保護制度を必要としている人や制度を利用している人の立場に寄り添いながら、生活保護問題の全体像に迫ろうとするものとなっており、「自立支援センター・もやい」の理事長を務め、生活困窮者の支援を続けるかたわら、各地で人権や貧困問題の公演をおこなっている著者による、生活保護に対する理解を進めるための一冊となっている。
 生活保護とは本来、困窮に陥り、自立生活から零れ落ちる国民を掬う「セーフティネット」の役割を持っている。そのようなセーフティネットは、それを必要とする人に適切に渡され、他の人もまたその制度に対して適切に理解し支えていくべきものである。だが現状はそう上手くはいっていない。2009年には、大阪府豊中市で警察官OBの嘱託社員が生活保護利用者に「虫けら」等の暴言を吐くという事件や、芸能人の親族が生活保護を利用していることをきっかけに、生活保護の制度や利用者に対するバッシング報道などがあった。それはまるで生活保護を利用することはモラルに反する罪悪であるかのような言いぶりである。
  日本国民が自身の生活と自立を守るために社会保障制度を利用することで、白い目で見られる今の社会は望まれる社会といえるだろうか。非正規雇用やひとり親家庭の増加など、仕方のない理由で生活困窮に陥る人がいる現状があり、誰もが生活保護と無縁ということはない。双方の理解を深めることでより充実した国へと進むことができる。(839字)
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C1200044 赤間亮太さん (8enj7fbk)2022/7/30 19:15 (No.489244)削除
作られた貧困――藤田孝典『貧困世代 社会の監獄に閉じ込められた若者たち』(講談社現代新書、2016年)評

 近年若者たちを取り巻く生活環境は急速に悪化している。非正規雇用の拡大、ブラックバイトやブラック企業、若者の高い自殺率、少子化など、数々の困難が待ち受ける現代では、彼らがおかれた厳しい現状を物語っている。本書は、生活困窮者支援を行うNPO法人で、様々な若者たちの生活相談と向き合っている著者が、直面している一過性の困難だけでなく、その後も続く生活の様々な困難さや貧困を抱え続けてしまっている若者の世代を「貧困世代」と総称し、この言葉とともに若者の貧困に迫っている一冊である。
 本書では、著者が所属しているNPO法人に訪れる若者の相談事例を5つほど取り扱われている。その中では、社員寮の寮費を払えなくなり、所持金13円で野宿していた人や生活費・学費を稼ぐために「早く18歳になり、風俗店で働きたい」という夜間定時制高校に通学する人などが紹介されている。これらの事例からは、やりたいことをうまくできずに、若者特有の「無限の力」を発揮できないことがわかる。一番人生をあきらめてはならないはずの若い世代が、人生を諦めざるを得ない、あるいは自身の生き方を制限せざるを得ない環境に置かれているのである。
著者は「これらの事例を特殊な事例ではない」と語っている。社会から傷つけられている若者・大人が貧困をわからない悲劇・ブラックバイトと奨学金問題など、これまでにもほとんど取り上げられてこなかった「若者の悲劇」を様々な側面から理解するべきということ、そして、日本社会が彼らを救済する手立てを早急に確立すべきだということを主張している。
 そして私もこの「貧困世代」の一人なのである。私もいつ当事例のように困難に陥るかわからない社会情勢が続いている。もしかしたら私と同様にこの不安に襲われて安定するため給料のいい会社や公務員として就職することを目指している若者も多いのではないだろうか。こうした考えはすでに貧困を抱え続けている温床なのではないだろうか。
「今の普通の暮らしとは貧困の暮らしなのではないか」という問題意識を持つ必要が我々にはあるとこの本を読み考えさせられた。(870字)
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C1201782 丹治尚也さん (8erskik8)2022/7/30 15:13 (No.489046)削除
武装解除とNPO--瀬谷ルミ子『職業は武装解除』(朝日新聞、2015年)

 この本の著者は外国とは無縁の田舎で育った一人の女性だった。その著者が何をきっかけに海外での危険な活動に一歩踏み出して参加し、なぜその活動自体を今まで続けることができたのかを書いた本である。
 まずこの本のキーワードは「自由に行動できる権利」だと思う。この言葉自体は本の最初に登場するが、最後までとても重要なキーワードになっていると思う。第1章人生が変わった瞬間・第2章「道」に迷ったとき・第3章紛争とは、平和とは・第5章私たちに残された選択肢というように各章の中で一つのキーワードとして読み解くことができる。日本という紛争や戦争のない平和な国で生きていく中で「自由に行動できる権利」は誰と何をするのかという意味を持っていると思う。しかし、海外で活動する中でのこの権利は意味合いが全く違うものになると思う。紛争をしている国では誰しもが拒否する権利がないまま戦争に投下される。これには本当に自由という権利はあるのか。私はないと思う。その地に生まれたことで一つの鎖を繋がれた人々には私たちには当然としてある権利がなくなっていると思う。
 武装解除というNPOの活動は日本の問題を解決するというものではなく、世界中の人を助けるという目標を持った活動である。このNPOの活動は全ての人に生きるという選択肢を与えているものだと思う。日本での貧困を解決するNPO活動も著者の活動に似ているところがあると思う。しかし、政府からの支援がないことや死という危険が隣り合わせになっていることなど日本の活動とは比較にならないほどの危険があると思う。その中で行う武装解除という活動は人々の「できない」ことなのか、「やらない」から難しいことなのかを考え直すことができる活動だと思う。
 「紛争地で生きる人々の生きるための選択肢を増やしていきたい」という著者の願いを世界中で考え直すことが必要だと思う。自分のできることをできる範囲でやることが世界中で起きている現状を変えることができる一つの活動になるのだと私は思う。
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C1202066 畠山 茉奈さん (8et7i50q)2022/7/30 13:13 (No.488962)削除
『女子高生の裏社会 「関係性の貧困」に生きる少女たち』ーー仁藤夢乃(光文社新書、2014)

この本の著者は女子高校生サポートセンターColabo代表理事を務めている。中学生の頃から「渋谷ギャル」生活を送り、高校を2年で中退するが、講師との出会いをきっかけに農業、国際協力に触れ、明治大学院大学に進学する。在学中から、高校生に向けた活動を始め、2013年3月、『難民高校生』(英治出版)を出版する。現在は声を上げることの出来ない少女たちの声を聞き、「居場所のない高校生」や「性的搾取の対象になりやすい女子高校生」の問題を社会に発信するとともに「若者と社会を繋ぐきっかけの場づくり」事業を展開し、少女たちの自立支援を行っている。
本書は著者が児童売春や犯罪の温床になるような仕事に就く少女達を取材し、なぜそのような「JK産業」と呼ばれる仕事をするのか、また、子供たちを取り巻くそのような危険な仕事が大人の目に触れにくい時代に何を考え、どう行動すべきか解決策を探ることを描いた文献である。家庭や学校に居場所を失い、社会的な繋がりすらも失う高校生を「難民高校生」といい、特に性搾取や違法労働の現場には、このような女子高校生が多く存在し、「貧困」状態から抜け出せなくなっている。なぜならその子たちには信頼出来る大人がいなく、唯一お金を稼ぐために働くお店の店長やオーナーを信頼することしかできないからである。この本書の取材にあったように、他のお店は摘発されて警察に捕まっているが、私のお店は健全だから大丈夫といったような教育をされていたり、店長から脅され辞めることができないという大人の思惑通りに取り込まれていたりという現状がある。
この現状に対し、女子高校生サポートセンターColaboでは様々な人生を送り、活動する大人たちと縁を繋ぎ、人生相談会、進路相談を女子高校生に行うことや生きがいについて話を聞いたりすることを行っている。そのような活動から、信頼でき、わかってくれる大人がいるということ、安全な居場所があることがどれくらい大切で彼女たちにとって必要であるということを身をもって感じた。(845字)
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C1201670 竹内 悠登さん (8egddpeq)2022/7/30 10:33 (No.488851)削除
大西蓮 『すぐそばにある「貧困」』(株式会社ポプラ社、2015)

 本書は、筆者の大西が理事長を務める認定NPO法人「自立サポートセンター・もやい」の日本の貧困問題について取り組みが書かれている。本書の中では、筆者が高校生の時に路上生活者に出会い、貧困問題に関わるようになってからNPO法人の職員における彼が経験した日本の貧困について書かれており、様々な形の日本の貧困を知ることができる。
 「もやい」が扱っている社会問題は日本の相対的貧困問題である。活動内容を簡単にまとめると、生活保護受給のために役所の窓口まで同行し、その人に最適な内容になるよう交渉や貧困に関しての相談など貧困に対して受け皿的な役割として活動を行っている。しかしこの活動は簡単ではない。筆者が初めて貧困支援ボランティアに関わった際に見た現場は、ベテランのボランティアでも、生活保護の制度に関してはほとんど知識がない現状であった。仮に受給を希望する人が生活保護を受けることができたとしても住まいが数十人での生活で虫が湧く部屋や毎日同じ食事メニュー、しかもカップラーメンなどが出てくる施設など劣悪な環境に置かれてしまう。そのために、施設に入るよりも路上生活を選択する人も存在する。筆者は、これらの現実を経験し、多様な形の貧困に対して支援の手を差し伸べている。
 また、貧困に陥る人は、単に仕事がないのだけではない。持病や障害が原因で職が長続きしなかったり、家庭内における暴力が原因で家から飛び出してきたことなどどれも違った原因によって貧困に陥ってしまうことが本書では紹介されている。本書での事例では、父親の日常的な暴力から逃れるために東京に家出をしてきたが、仕事も長続きせずに貧困に陥ってしまった若者の例があった。しかし、政府ができない柔軟な「もやい」の支援のおかげで生活保護を受けずとも生活が送れるようになった。
 紹介した内容以外にも多様な形で貧困の問題は発生しており、行政はより柔軟で対応が求められると感じた。そして、本書での様々な事例を通して感じたものは、生活保護の受給に該当する人は社会的に孤立していると感じた。そのため、貧困の一つの解決策には様々な制度へのアクセスを可能にすることで孤立をなくすことが解決の手段になるのではないかと感じた。(870字)
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C1211160 佐藤優一樹さん (8eseabsk)2022/7/29 23:35 (No.488494)削除
五十田 猛 著 
「ひきこもり当事者と家族の出口」 子どもの未来社 2006 1月30日
著者である五十田猛が、不登校センターを設立したりする活動の中で出会った不登校やひきこもりの経験者との会話や様子をみて気づいたことがこの本に記されている。また、教育書の編集者時代を過ごして身に着けた教育的視点をもとに、ひきこもり経験者たちの社会復帰の出口の可能性を見出したものである。
 ひきこもりの背景には様々な要因があり、一人一人異なった要因によってひきこもりになっている。この異なる要因を原因と結果にとらえ、三つの典型化した見方に分けた。1つ目は「否定され責められ続けた。」2つ目は「過剰ともいえる保護のもとに置かれた。」3つ目は「幼児期から少年期にかけて虐待や強烈ないじめを受けた。」というこの3つだ。それぞれに、日々の罵倒による自己否定感の増幅や過保護の環境による受け身の人間、虐待やいじめによる人間不信といった特徴が挙げられる。こういった子供たちを社会に復帰させるべく、五十田猛らは不登校情報センターで当事者を集め、交流をする「当事者の会」を開いた。この会は福祉における自助グループ、心理におけるエンカウンターグループ、精神医療におけるディケアもほぼ同様の役割を担っており、対人コミュニケーションの練習の場になる。だが、この会でも心がけていることがある。1つ、「安心してそこにいられる」。この安心した環境づくりというのは、家庭内暴力やいじめによって居場所がないと感じた子供たちが居やすくするためである。この中でやがて言葉による表現や身体表現ができるようになっていくとのこと。2つ「ひきこもりのままでの社会参加」である。中身としてはひきこもりの方に実際に経済活動が出来る環境を提供し、時間と経験によって回復を目指すもの、より日常に近い生活を送ることで、社会生活に順応することができる。
以上の活動は、ひきこもりの方にとって現状を打破し、社会復帰すために必要な出口であると感じた。家庭や周りとうまくいかなかった人を見捨てず、整った環境を提供するこの活動は、今後も必要になると思う。
(845)
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C1211160 佐藤優一樹さん (8eseabsk)2022/7/29 23:59削除
題名は「ひきこもりの出口をつくる」です。訂正や削除が出来なかったため。こちらに書かせていただきます。申し訳ありませんでした。
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