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C1210255 伊藤凜さん (8erzge8g)2022/7/29 16:40 (No.487948)削除「なんにもないけどやってみた プラ子のアフリカボランティア日記」
栗山さやか 著
株式会社 岩波書店 2011年10月20日
本書では、109の元ショップ店員であった栗山さんが大切な親友を亡くしてしまい、残りの人生をどう過ごすか考え直すことから始まる。そしてある本に出合って海外へ行くようになり、旅で出会った人の優しさを受けてボランティアを始めることになった。栗山さんがボランティアとして飛び込んだアフリカには想像を絶する事実があった。
多くのHIV患者(主に女性)がいること、まだ幼いのに赤ちゃんを育てている女性がいること、家族に会えずに施設で亡くなってしまった患者がたくさんいること、これらの事実は日本では聞くことのない話である。だが、現在アフリカではこのようなことが日常で起こっている。ここで主に取り上げられている社会問題は、貧困な国で起こっている女性たちの残酷な日常だと考える。栗山さんが紹介していた患者は10代から40代までと幅広い年齢の女性たちであった。その人たちはみんなHIVなどの重い病気にかかり、私たちが今までみたことのないような酷い症状が出ていた。それにも拘らず彼女たちは栗山さんが手当をしてあげると、むしろ病気がうつるといけないから大丈夫だと言っていた。自分が一番辛いことを分かっているはずなのに、他人のことを心配してくれる心優しい女性たちであった。先進国の人は自分が苦境に立ち得ると周囲を気にしていられないことが多いが、彼女たちはそうではなかった。栗山さんも似たようなことを語っていたが、どうして彼女たちのような人々が、若いうちから辛い状況に置かれなければならないのかと不憫に感じた。
栗山さんが立ち上げたアシャンテママという協会は食糧の提供や、病気や貧しさで悩む女性に向けての勉強会を行っている。そして子供たちには、勉強の後に栄養満点のおかゆを提供している。実生活で役に立つ知識を身に付けてもらうことが、病気に苦しむ患者を減らすことに繋がる。今後も栗山さんが立ち上げた団体のような、貧困の人々に、生きる上で大きな財産となる正しい知識を教えてくれる団体が増えていってほしいと思う。(880字)