NPO・NGOの現場からうまれた文献のbook review

掲示板

BBS
アイコン設定
投稿者さん使い方

掲示板の主旨に反する投稿は掲載されません。掲載の是非は管理者が判断いたします。予めご了承願います。
C
C1211125 佐藤心哉さん (8eyxjxz8)2022/8/3 13:21 (No.493808)削除
ブラック企業の実態と対策(今野晴貴 『ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪』 文藝春秋、2012)

 近年、ブラック企業という言葉が頻繁に聞かれるようになってきた。加えて大学生の私たちにとってもかなり関係のある問題であるためこの本を選んだ。「ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪」の著者である今野晴貴という人物は1983年宮城に生まれ、現在は一橋大学院の博士課程に在籍している。2006年には中央大学法学部に在籍しており、その頃に都内大学生と若手社会人を中心としたNPO法人POSSEを設立、年に数百件の労働に関する相談を受けている。今野氏は本書以外にも多数の労働に関わる書籍を出版しており、正しい労働の実現に向け積極的に活動している。
 本書ではタイトルにある通り、ブラック企業問題を取り上げておりブラック企業の特徴や実例このような企業が生まれた背景、更に被害者の立場での対策や社会的に解決する方法なども考えられており、ブラック企業について過不足なく知ることが出来る一冊である。ブラック企業の問題は一人で解決することは非常に困難であるため労働組合や、NPO団体と関係を持つことが重要であるとのこと。実際、ただの一社員が反発したところで辞めるように様々なハラスメントなどによって自主退社させられるだけになってしまうが、労働組合やNPOなどと関わりを持ちある程度の規模で活動できれば、企業側も無視することはできなくなるため問題解決に繋がる可能性があるとのことだった。
 現在苦しんでいる人は決して理不尽な労働を受容せず、争う意思を持ち労働組合やNPO団体に相談しともに行動することが問題解決につながることや、今後についてはブラック企業の更なる被害者を無くしていくために労働組合やNPO団体とのかかわりを持つことが最も良い解決法であるように教育段階で伝え、正規的で一般的な解決法であるようにすることが必要であると思った。根本的な意識を変え将来的に苦しむ人をなくすための取り組みが重要である事を本書を読み思った。(811字)
返信
返信0
C
C1200848 黒田武蔵さん (8eyxjpyz)2022/8/3 13:21 (No.493807)削除
湯浅誠『ヒーローを待っていても世界は変わらない』朝日新聞出版、2015

 本書では、民主主義とは何かという基本的なこと、そして日本の民主主義の現状、及びそこに現れている課題について述べられている。
 まず、この世の中においては、私には私の意見があり、別の人には別の意見がある。それが当たり前である。しかし、夫婦や親子のような親しい間柄でも意見の食い違いは生まれ、一方的に主張していては合意形成に至らない。家族間ですらそうであるため、見ず知らずの他人で構成されている社会での、合意形成の難しさがはっきりと分かる。だがそれでも、誰かに任せるのではなく、自分達で引き受けて、それを調整して合意形成していこうというのが民主主義のシステムである。したがって、民主主義というのは、恐ろしく面倒くさくて、うんざりするシステムであることを、みんなが認識する必要があると湯浅氏は語る。
 また、私たちは、誰かに頼り、楽な流れに身を委ね、自分は決して傷つかない場所から、ろくでもない政治家を跳ね飛ばし、全てを上手く速やかに解決してくれるようなヒーローの登場を心のどこかで待ち望んでいる。しかし、民主主義というのは、人民が主権を持ち、自らの手で、自らのための政治を行う立場であり、私たち一人一人がその主役である。つまり、「あいつはだめだ」「こいつはだめだ」と口を動かすだけの評論家になるのではなく、自分たちが主権者であることを一人一人が理解する必要があると言う。人々は、大きな変化にばかり目が行ってしまうが、デカいことばかりを求めていても目の前のことに向き合えなければ、結局は足元をすくわれる。だからこそ、無いものねだりではなく、あるもの探し、出来ない事より、出来ることに注目し、それはどんなに小さなことでも良いから、積み重ねていく事に意味があると湯浅氏は述べている。
 本書は、民主主義における面倒な作業調整を放棄していては何も決められないこと、そして、ヒーローを待望し、全てを人任せにするのではなく、主権者である私たち一人一人が一歩でも半歩でも改善に向かって努力しなければ何も変わらないと、行動を起こす刺激を与えてくれる一冊である。(868字)
返信
返信0
C
C1210373 江藤史佳 さん (8eyu13w7)2022/8/3 11:42 (No.493719)削除
紛争地の現実と希望―― 瀬谷ルミ子『職業は武装解除』(朝日新聞社、2011年)

 この本の著者である瀬谷ルミ子さんは、1977年に群馬県生まれ、中央大学総合政策学科国際政策文化学科卒業後、英ブラッドフォード大学紛争解決学修士課程を得、ルワンダやアフガニスタン等で国連PKO、外務省、NGO職員として勤務したのちに、現在は認定NPO法人 日本紛争予防センター事務局長を務めている方である。
 本書は、高校生の時に見たルワンダの難民キャンプの親子の写真を見て衝撃を受け、将来について考え行動し、紛争地での“武装解除”を生業とすることとなった瀬谷ルミ子さんの話だ。彼女がこの職業を目指したきっかけやそのために行動したこと、武装解除の現場に立って彼女が考えたことや感じたこと、現地で出会った人々の話など、彼女目線で見てきたことが事細かに書かれている。
「武装解除」とは、紛争が終わったあと、兵士たちから武器を回収して、これからは一般市民として生活していけるように職業訓練などをほどこし、社会復帰させる仕事である。
 彼女は高校生の時までコンプレックスを抱えて生きていて、ずっと自分一人の声なんてどこにも届かないだろう、行動するだけ無駄だろうと考えていた。しかし、高校生の頃にルワンダの内戦の様子が撮影された写真を見てなすすべもなく命を落としていく人々の様子を比べ、自分には「自由に行動をする自由権利」があることに気づき、自分ができることから始めてみようと挑戦したのだ。
 本書の印象的だった部分を紹介しようと思う。それは「和解」についてだ。紛争地において「和解」という言葉が凶器になりうる時があると彼女は語っている。日本において生活している誰もが紛争解決のために「和解」しようということが凶器になるとは考えないだろう。しかし、そうとは限らないのだ。外国人に加害者と和解しない理由を問い詰められたら、被害者の傷を深めてしまう言葉に凶器になり替わるのである。
 「行動しなければ変わらないー。」私たちは何をやり、やらないのか。考えさせられる本である。(808字)
返信
返信0
C
C1202586 佐々木瑞希さん (8eystusf)2022/8/3 11:08 (No.493699)削除
工藤啓、西田亮介『無業社会-働くことができない若者たちの未来-』朝日新書、2014年

この本は、「働きたいけれど働けない」、「働き続けることができない」、「もう何から始めたらいいのかわからない」といったものに当てはまる若年無業者を救うべく、著者らが若年無業者に対する誤解を解き、実情を紐解いていくものだ。
話が変わり工藤氏は34歳の時、育休を始めて近所の人々に毎日犬の散歩で訪れた公園では 、「働いていない若いやつだ」と思われたり、さらには警察に不審者と勘違いされたりしたのだった。
ニートやフリーターといった言語を用いて若年無業者が「若年無業者は批判されるべき存在である」という悪い方面で、現代は広く認識されてしまっている。著者達は、誰もが無業(無職)になる可能性があるのにも拘わらず無業状態から抜け出せない人が多い社会を「無業社会」と呼んでいる。
若者無業者の特徴として大きく分けて3つの類型化「求職型」「非求職型」「非希望型」がある。求職型の細部の特徴としては元々就職活動等をしている為、若年無業者でも就業活動・就業経験があるということがわかる。
さらに、無業者となってしまうことで周りの人を頼れなかったり心身的に悪影響を及ぼしたりする可能性が比較的高く、そこから職を探すに至れなくなる人々が多くなっている。
本書では若年無業者が16人に1人存在し、社会的にも見過ごすことの出来ないものになっていると述べられている。実際、2021年でも75万人かなり多く見受けられる。
無業者期間が伸びてしまうと就職を希望していた人々の思考がマイナス化し、「非求職型」、「非希望型」に変化してしまう場合があるのだ。解決策として若年無業者となった人々に対して早く就労できるように促していくこと、無業状態になったとしても労働市場に参入できる機会と仕組みを社会に導入していくことが挙げられているが、私自身の意見としては早く就労出来るよう促すことで「就職しなければ」という切迫感が生まれ、精神的ストレスが与えられてしまう場合もあるのではないかと感じた。。
工藤氏はNPO法人育て上げネットの理事長であり、本書で取り上げた若年無業者達が前進できるように今も努力を続けている。(875字)
返信
返信0
C
C1202540 奥山桃花さん (8eysni3b)2022/8/3 11:04 (No.493693)削除
都市と地方の未来--高橋博之『都市と地方をかきまぜる「食べる通信の奇跡」』(光文社、2016年)

 私たちの生命を支えている最も重要な行為は「食」であるといえる。そして、一般的に食べる人(消費者)は都会にいて、つくる人(生産者)は田舎にいる。そんな東北の生産者と都会の消費者を「情報」と「コミュニケーション」で繋げたいと試行錯誤を繰り返し、「東北食べる通信」を作成したのが、この本の著者であり特定非営利活動法人「東北開墾」の代表者を務める高橋さんである。岩手県の県議会議員として働いていた高橋さんは、都会と地方を行き来しているうちに、これまでの「地方創生」の問題点は人口減少や高齢化の進行により、消滅の危機に瀕する地方をどうやって盛り上げていくのかが論点になっていたが、むしろ都会の方が行き詰まっているのではないかと感じたという。この本では、髙橋さんが「都会」と「地方」のそれぞれの視点からみたこれからの日本の農業や漁業、生産や消費のあり方、情報社会における生き方などが述べられている。
 史上初の「食べもの付きマガジン」である「食べる通信」は、これまでの「食べものが主役で生産者の物語は添え物」という考えをひっくり返した。生産者の人柄、考え方、世界観、哲学、生産作業の細部、歴史、仲間たち、苦労、喜び、家族、それまでの半生、地域の歴史が16ページにわたって綴られ、食べ物は殻付きだったり、土がついていたり、「とれたてそのまま」の状態で消費者のもとへ届けられる。髙橋さんは「食べる通信」を通じ、生産物を「商品」ではなくそれが持つ物語と生命にこだわり、生産者と読者とでつくるコミュニティで共有できる価値にした。そして、「食べる通信」は「生きる感動」や「生存実感」「脅威に満ちた自然世界との回路」を都市生活者へ提供してくれた。
 「食べる通信」はとっても身近な「食べる」という行為を介し、都市と地方の間にある壁を取っ払い、食べ物とお金のやり取りという希薄な関係を交換不能な豊かな関係に変えた。消費社会の成熟化に伴い失われてしまった「リアリティ」が、ここにはある。
(825字)
返信
返信0
C
C1211846 兵藤弥生さん (8eyr6ql2)2022/8/3 10:33 (No.493669)削除
高橋博之『都市と地方をかきまぜる「食べる通信」の奇跡』光文社、2016年

この本の著者である「東北食べる通信」編集長の高橋は、もともとは岩手県議会議員を務めていた。2011年の7月に辞職願を出し、翌8月に告示された岩手県知事選挙に出馬したがあえなく落選。その一年後政界引退を表明した。議員時代に、県内各地を計485回回り、生産者を中心に住民の声を聴き続けた「車座座談会」の経験から、被災地をはじめとする東北の第一次産業をどうにかしたいという思いから、都市住民(消費者)と地方の生産者をつなぐ事業を始めた。それが「東北食べる通信」である。具体的な背景は、被災地にボランティアでやってきた都市住民と被災者が連帯する姿を見て、これを日常においてできないかと考え、それを形にすることで、震災だけでない、日本の大きな課題も乗り越えることができるのではないかと考えたことから始まる。そこで着目したのが「食」だった。「食」は身近なものであり、生命を支える最も重要な行為だ。また、食べる人は都会、作る人は田舎にいる。この都会と田舎をつなぐ回路を「見える化」すれば両者を結べると考えた。このことから、高橋は、東北の生産者と都会の消費者を「情報」と「コミュニケーション」でつなぐメディアとして「東北食べる通信」をビジネスモデルとして立ち上げた。
食べる人とつくる人をつなぐことで、交換不可能な継続的で深い関係性に発展させることができる。また、そこから生産者に共感した都市住民が生産者の活動を応援するということにもつながり、さらに共感が増え、どんどんと事業も関係性も大きく深くなってつながっていった。
本書では、地方の魅力・生産者の生き様を都市住民に伝え「共感と参加」の回路を通り「関係人口」を増やし、消費者と生産者をかきまぜる「東北食べる通信」の魅力についてなどが語られている。
この「東北食べる通信」のように、人と食をピックアップして取り上げることで、消費者と生産者を繋ぎ、都会と田舎を繋ぐということが、繋がりが薄れている現代社会においてとても重要なことであると感じたと同時に、「繋がり」が様々な社会問題に良い影響を及ぼすのではないかと考えた。(868文字)
返信
返信0
C
C1210640 小野寺未来さん (8eyps073)2022/8/3 09:43 (No.493624)削除
乙武洋匡、佐藤大吾 『初歩的な疑問から答えるNPOの教科書』(日経BP、2015年)評
本書は、「NPOについての基礎の部分からの理解を深めたい」「働くときの選択肢にNPOを加えたい」という思いを持つ2人の著者がNPOについての疑問を対談形式で解決していくという内容になっている。本の構成としては、NPOとはそもそも何なのかという超基礎の部分からNPOで働く、NPOをサポートするといった著者の目標とする部分まで深く細かくまとめられている。
NPOとは、日本語にすると非営利団体を意味し、つまり利益を配分しないということだ。「利益」ということはお金をとって活動をするということ、いわゆる営利活動なのでは?という疑問が湧いてくるかもしれない。収入から支出を差し引いたぶんのお金を「利益」というが、企業などの営利団体はこの「利益」を配分で分配が可能である。しかし、非営利団体においての「利益」は「剰余金」と呼ばれるのだ。NPO法人などの非営利団体は「剰余金」を営利団体と同様に寄付者たちに分配することは不可能であり、「剰余金」として残ったお金は事業に使うことが決められている。
NPOと行政の違いについても詳しく説明がされている。NPOは規模が小さく、強制的にお金を出してもらうのではなく、同じ悩みを持った人たちが集まって少しずつお金を出すことで問題を解決していく。それに対して、行政は規模が大きく、その地に住んでいる限り強制的に税金が徴収される。身近な問題について行政に相談して解決してもらうのを待つよりも、NPOとしてお金を集めて問題に取り組んだ方が早く解決するのではないだろうか。
今回は本書の中でも基礎的な疑問についてまとめてみた。このほかにもNPOに関する様々な疑問がこの本の中で解決されている。NPOについてほぼ知識ゼロの人でも、もっと詳しく学んでみたいという人にもおすすめの1冊である。(794文字)
返信
返信0
C
C1202451 渡邉篤さん (8eykpj1j)2022/8/3 07:21 (No.493494)削除
清水康之・上田紀行『「自殺社会」から「生き心地の良い社会」へ』(講談社、2010)

 まずこの本の著者の紹介をする。清水康之氏はNPO法人 自殺対策支援センター「ライフリンク」代表を務め、2009年11月より、内閣府本府参与されている。上田紀行氏は文化人類学者で東京工業大学院準教授(社会理工学研究科、価値システム専攻)である。著書「生きる意味」(岩波新書)は、2006年度大学入試で出題率第1位になるなど、その日本社会変革への提言は大きな注目を集めている。
 本書では初めに清水康之氏の自殺社会に対する思いが述べられている。自殺対策に取り組むNPOの代表という立場で、自殺対策を、社会全体で総合的に推進していくための、「つなぎ役」として実務が語られている。第1章からは上田氏と清水氏が対談している様子がまとめてある。「自殺対策基本法」ができたのに、なぜ自殺は減らないのかとよく聞かれると清水氏は言う。その点に関して、これはまだ法律ができただけで、残念ながらその法律が目指す対策にまでは結び付いていないからだという。実際に従わなくても、特に罰則があるわけではなく、自治体が具体的な解決策を実行するわけでもない。だからこそ僕たちNPO法人をはじめとして、民間からも積極的に「自殺対策」にかかわっていく必要があると語る。
 今の日本社会は、本当に、人間の生命力をひたすら枯渇させていくようなシステムになっていると上田氏は言う。昔の高度経済成長期のように、毎年毎年経済が右肩上がりだった時代ならまだよかった。苦しいながらも得ているものがあるという実感があったからである。今はどんなに働けど、ほんの一握りの人にしか、その成果は巡ってこず、そんなギリギリの状態で個人の責任にされてしまう。その中で本当にぷつんと緊張の糸が切れてしまう人がいると語る。自殺問題は単なる一つの問題ではない。自殺に悩んでる人だけの問題でもない。そのことに多くの人が気づくことで住やすい社会になるという。私は、この本を広めることでそのことを果たせるのではないかと考える。(806)
返信
返信0
c
c1211444 高橋淳さん (8ey9roax)2022/8/3 02:15 (No.493385)削除
いじめ解決のためにできること
(阿部泰尚 「保護者のためのいじめ解決の教科書」 集英社新書 2019年)
 著者である阿部泰尚さんは1977年、東京都生まれ。2004年に探偵として初めて子供の「いじめ調査」を受件し、以降、6000件にも及ぶいじめ相談を受け、関係各所が動きのとれない状態にあった400件で収束・解決に導いた。また。NPO法人ユース・ガーディアン代表理事である。この本はユース・ガーディアンや探偵時代に届いたいじめ相談に対して、親がより良い行動をとっていれば解決できたのではないかということに焦点を当てて、いじめを解決するための方法などについて書かれた一冊である。
 近年ニュースなどでもよく耳にするが、いじめが原因で不登校や自殺などが起こっているため、いじめは子供の人生を破壊するものであると言える。いじめに対してすべての親が、自分の子供はいじめられないでほしい、また、いじめる側にもならないでほしいと思っているはずだ。本当の意味で子供を守れるのは親だけであるため、親側からいじめ問題にどう動いていくかについて阿部さんは論じている。
阿部さん曰くいじめ問題の種を蒔いているのは、親をはじめ周囲の大人であると述べている。親などから「…でなければならない」という価値観を強く植え付けられた子供は、いじめる側に回りやすいと感じるという。「勝ち組」や「負け組」といった価値観に左右され、自分より立場が低いものを見下す行動を子供であれば取ってしまう。そうしたことからいじめが発展してしまい、不登校などといった問題が生じる。
 この問題を改善するためには、多様性を認める価値観を広げることである。具体的に言えば、差別はどんな場合でも決して許されないと子供に教えることが必要であるという。
子供に教える立場である大人がまず「人はみんなそれぞれで、それでいい」という価値観を持たなければ、いじめを減らすことはできないと述べている。
 大学生や社会人でもいじめは起こっている。子供のいじめを減らすためには大人がいじめを行わないことが大切なので、いじめへの取り締まりをより厳重にしていかなければならないと感じた。(829字)
返信
返信0
C
C1211929 松尾尚記さん (8ey88viz)2022/8/3 01:32 (No.493374)削除
食を通じた2つの対の立場のつながり
(高橋博之『都市と地方をかきまぜる『食べる通信』の奇跡』光文社、2016年)

 この本の著者である高橋博之さんは、2006年に岩手県議会議員補欠選挙に立候補し当選。2011年に岩手県知事選に出馬するも落選。その後2013年に、特定非営利活動法人「東北開墾」を立ち上げ「東北食べる通信」編集長に就任。その後、一般社団法人「日本食べる通信リーグ」を創設し、代表理事となっている。
 この本では、食を通じて地方と都市とのつながりを作り社会を作り上げていこうとする本である。私たち消費者が店舗で得られる情報は値段や見た目などが中心で、決定的に欠けているのは生産者の情報である。都市と地方をつなげるうえで、食べ物の裏側つまり生産者の情報を手にした人は、生産者に対する見る目も変わってくるでしょう。この本において著者はふるさとを海と土としており、そこから遠く離れてしまった人たちのことを「ふるさと難民」と呼んでいる。ふるさと難民が、田んぼは自分で、自分は田んぼであるといった自分と自然は一緒という感覚を取り戻すためには、生産者やその向こうに広がる自然とつながれる「食べもの」や「食べる」という接点を捉え直すことだと著者は述べている。
田舎から都会に出ていく回路は進学や就職など多くあるが、逆に都会から田舎の回路は少ない。その少ない回路の中で私たちの身近にあるものこそ「食」である。食べる人が都会にいて、作る人が田舎にいる。そこに著者は都市と地方を結ぶ可能性を感じた。都市と地方を結ぶためには「共感」と「参加」が必要である。そのために生産者の姿をリアルに都市に伝えることで、助け合って生きる地域コミュニティの在り方などに共感し活動に参加してくれるのではないだろうか。震災時の都市と地方の連携という価値観を、食を介してかきまぜることで多くの人に共有できるのではないだろうかと著者は考えている。
 つくる側と食べる側のつながりは現代社会で失われつつある。このつながりを大切にしていくことで新たな価値観のコミュニティを作ることができると私は思う。(865字)
返信
返信0

Copyright © NPO・NGO論, All Rights Reserved.