NPO・NGOの現場からうまれた文献のbook review

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c1200222 伊藤優さん (8evbppgn)2022/8/3 16:31 (No.493982)削除
仁藤夢乃『女子高生の裏社会 「関係性の貧困」に生きる少女たち』光文社新書2014年

「難民高校生」。家庭や学校に居場所や社会的なつながりを失った高校生のこと言う。筆者は、このような様々な事情や苦しみを抱えた10代の少女たちの自立を後押しする活動を行っている。性搾取や違法労働の現場には「衣食住」と「関係性」を失った少女が多く存在し、「貧困」状態から抜け出すことができなくなっている。
 今、特別な事情抱えている子供が働いているのではなく、学校での成績もよく、将来の夢もあって進学を控えているような「普通」の女子高生であっても児童買春や犯罪の温床になるような仕事についているという現状がある。実際に筆者が聞いた話がここに事例として取り上げられている。こうした女子高生は、言葉巧みな大人の口車の乗せられ、大人をすぐ信用し、連絡先を抵抗なく教えてしまう。所属意識が高く、友達を誘って普通の女子高生も所属することになってしまう。
 メイドがメディアに取り上げられるようになると、メイドは一般化され半裏社会的な、グレーな存在から「表社会に認められた存在」となっていた。それまで、オタクっぽい雰囲気の男性ばかりだったが「普通」の客も来るようになった。それと同時に「わけあり」ではなく「普通」のメイドが増えていった。家や学校で何等かの事情を抱え傷ついた子供たちは、自ら声を上げることが難しい状況にある。高校生世代のこどもたちは、困窮状態にあり孤立していても、問題が絡み現存の支援にはつなげないことも多い。これまでの関係性や社会とのつながりを隔絶してなくても受けられる、ある程度生活に自由度を持って受けられるサポートを選択しとして用意するべきである。
 こうした家庭や学校に居場所や社会的なつながりを失った高校生である「難民高校生」を助けるためには「衣食住」や「関係性」を確立することが必要である。本気で向き合ってくれる大人や、背中を押し見守ってくれる大人、出会いや社会的なつながりが生まれる居場所が必要である。
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C1211036 佐々木隆介さん (8ez43uxp)2022/8/3 16:31 (No.493980)削除
「自分を拘束していた」
(二神能基『希望のニート』新潮文庫、H21.4.1)
今回、著者が扱っている社会問題は、ニートのことだ。そして筆者はなぜニートになるのか、ニートの子と親の関係、ニートのこれから、をこの本の中で取り扱っている。そこで親と子の関係の中で生真面目な親が子を追い詰めるとあった。まさにその通りだと思う。小さい頃から親が1から10まで教え、子供の意見を尊重せず親の思うようにやらせていたら子供の成長の上限が親になってしまいます。これは親子関係だけでなくマニュアルのある会社にも同じことが言えます。マニュアルがあってしまうと上昇思考なことを思いついてもマニュアルがあるから言えないという状況をつくり、向上心の消失へと繋がります。親がいい会社に入りなさいと言うが、いい会社というのは親と子では違う。親が言ういい会社とはお金が稼げて休みが安定しているみたいなものだろう。だが子供からするとそれがしたいことならいいのだが大半は自分のしたいことがあると思う。子供からするといい会社というのは自分がしたくてさらに、やりがいを感じることができるというものだと思う。親が心配するのはわかるが、その心配のせいで子供の将来を潰してしまうことに親も気づかないといけないのだ。親も子も「子供を自立させなきゃ」「自分で自立しなきゃ」という固定概念が自分の居場所を狭めていると言うことに気づかなければならない。そしてニートを卒業した人のきっかけの多くに恋がある。とても意外だ。このままでは結婚できないと言う不安をきっかけにニートを卒業するというのだから恋はやはり人間と言う生物の本能的に大事なのだと思う。なのでニートになったら本能に問いかけると良いのかもしれない。そのきっかけを作ってあげるのがまさにnpoに繋がってくるのだと私は思う。
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c1211415 相馬蒼龍さん (8ez449x6)2022/8/3 16:30 (No.493978)削除
いじめ解決に向けて 阿部泰尚『保護者のためのいじめ解決の教科書』(集英社新書、2019)

 現代のいじめは以前よりもはるかに陰湿で、解決の難しいものになってきている。本書では、そんな中で保護者がとるべき「適切な行動」とは何か、それに対しNPOがどう関わっていくのかということ述べられている。
 著者の阿部泰尚さんは一人でも多くの子供たちを救いたいという思いから、2015年にNPO法人ユース・ガーディアンを設立。その後ユース・ガーディアンの代表理事、及びT.I.U総合探偵社代表を務め、2004年探偵として初めて子供の「いじめ調査」を受件。以降、6000件にも及ぶいじめ相談を受け、関係各所が動きのとれない状態にあった400件を収束・解決に導いた。
 本書はタイトルにもある通り、わが子がいじめ被害にあった時、保護者は解決に向けて何をするべきか、また被害を受けている子供たち、その保護者に対してNPO法人ユース・ガーディアンが行っている支援はどのようなものがあるのかということが述べられている。具体的には、保護者が学校側から「モンスターペアレント」認定されない方法、認定された時の対処法、学校へのアプローチの仕方、担任、顧問、校長が動かないときの対処法、教育委員会も頼りにならないときの方法、親が気づきにくいいじめの兆候、などが紹介されている。また、ユース・ガーディアンの支援として、相談や尾行、録音・録画用の機材を無償で提供するなどといった探偵調査が紹介されている。
 本書の最終章で著者は「いじめは大人社会の模倣だ」と記している。これは今日の日本社会が、自分とは違う価値観を持っている人、あるいは自分よりも立場が低い人を認めない、淘汰するといった空気に満ちている、そして子供たちはその空気を感じ取り模倣しているのだということだろう。いじめの根本的な解決を目指すのならば、まずは社会を公正で多様性が認められる場所に変えていく必要がある、といったことを本書で学べるだろう。
 子供をもっていても、もっていなくても一度読んでみてほしい一冊である。 (818字)
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C1211036 佐々木隆介さん (8ez43uxp)2022/8/3 16:24 (No.493971)削除
「親子とは1番深いのか」
(ニ神能基 『暴力は親に向かう』新潮文庫、H22.2.1)
今回、著者が扱っている社会問題は親に対する子供からの暴力だ。親からの子供に対する虐待はよく耳にするが子供から親への暴力はあまり聞いたことがないだろう。だが深刻さで言えば親からの虐待に匹敵、いやそれ以上の深刻さがある。ではなぜあまり世に出回らないのか、それは親の責任、プライドが親自らのSOSの妨げになっているからだ。具体的に言うと子供が暴力を振るってきたとしても親は自分の育て方が悪かったんだや周りにその話が出回るとどんな目で見られるかわからないなどの考えになるということだ。その中でもさらに深刻なのが、母親に対する暴力だ。多くの家庭は1番子育てに関わっているのは母親の方だ。そして母親に対して暴力が行われたとき、母親は1番責任を感じる。そして周りどころか夫にも相談できない。それが事態が深刻化する前に発見できない要因なのだ。そこで筆者は相談を受ける役を買って出て、若者たちがどのように育ち、挫折し、そして立ち直っていくかを見守りながらその手助けをしてきた。そこで筆者が常々思っていることは、子育てにマニュアルは無いということだ。筆者は子供と親、いわゆる親子を救いたいと言う純粋な気持ちから行動していることから立派なnpoと言える。そして筆者がこの本を通して最も伝えたいこと、それは家庭を密室にせず、家族を開くことが大事だということです。引きこもり、暴力、ニートこれらのことは繋がっている。どれか一つになってしまうとその他のものも伴ってくる。逆にそれがわかっているから防ぎようもあるのだ。家族を開く、いわば家族をオープンにすることで子供はいろいろな外からの刺激を受けることができ、価値観、発想力、考えかたなどができ、引きこもりなどになることを未然に防ぐことができる。しかし既になってしまっている人は防ぐことができないため、どのようにその闇から抜け出すのかがだいじなのだ。
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c1202178 星川幸之介さん (8ez3hvcw)2022/8/3 16:18 (No.493965)削除
今野春貴『ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪』文春新書、2012年

ブラック企業問題が社会に広がる以前、若者の雇用・労働問題は、非正規雇用の広がりがその中心を占めた。非正規雇用の若者は「フリーター」と俗称されて、彼らはまじめに働こうとせず、自ら安易な労働に従事してるいるとされた。また、「フリーター」だけではなく、まじめに働こうとしない若者の代表格として「ニート」なる言葉も発明された。「ニート」とは、働きもせず、通学もしてない35歳未満の者を指す言葉として使われ、いわゆる「引きこもり」のようなイメージとて広がった。非正規雇用の増加に伴い、ブラック企業が増えていった。そこで筆者は2006年に、大学の仲間と共にNPO法人POSSEを設立し、若者自身の手で労働相談活動や調査活動を開始した。フリーターの広がりと、政策論のずれに、1人の若者として強い危機感と憤りを覚えたことが、著者の動機であった。NPOを立ち上げて後、著者は1500件を超える労働・生活相談にかかわり、数多くの調査活動を手掛けてきた。ブラック企業が個人としての若者に対して、どのような害悪をもたらすのかを見てきた。ブラック企業から身を守るには、冷徹なまでの「戦略的思考」が必要になる。戦略的思考の第一は、「自分が悪いとは思わない」。第二は、「会社のいうことは疑ってかかれ」。第三のは、「簡単に諦めない」。第四は、「労働法を活用せよ」。第五は、「専門家を活用せよ」。ブラック企業問題とは、成長大企業による大量採用・大量解雇によって若者が使い潰されるという問題である。だが、労働相談を受ける中では、ひとつひとつの事案が、ただ相談者本人の問題として深刻であるばかりではなく、日本社会の将来を考える上できわめて深刻な問題を含んでいるに気付かされる。問題として若く有益な人材の使い潰し。第二の問題は、コストの社会はの転嫁。こうしたブラック企業への対策として、社会的な戦略を著者が提案したい。それは、労働組合やNPOへと相談し、加入し、新しいつながりを作ることだ。(827文字)
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c1202178 星川幸之介さん (8ez3hvcw)2022/8/3 16:20削除
文字数書き忘れたので再投稿させていただきました。申し訳ないのですが、よろしくお願いします。
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C120020A 伊藤皓紀さん (8ez3njwx)2022/8/3 16:11 (No.493959)削除
「地域の繋がりとは」
丸田一『Webが創る新しい郷土 地域情報化のすすめ』講談社現代新書、2007年

この本の著者である丸田一さんは、早稲田大学卒業後、研究員や国際大学グローバル・コミュニケーション・センター教授などを経て、現在はフリー研究者、関西ブロードバンド㈱常務取締役であり、地域情報化支援団体であるCANフォーラム運営委員長を務めている。地域情報化研究に取り組み、情報社会の分析を行っている。
丸田さんはこの本の中で、地域の境界や中心というのが希薄になってきている点を問題視している。大都市では激しい人口膨張により、周辺地域の市街地との一体化が進み、地方では、過疎化や高齢化による市町村合併で地域の境界というのは曖昧になってしまった。
そこで注目したのが、「地域情報化」である。これは「情報化という地域づくり」である。これまで地域づくりというと、都市計画といったまちづくりが中心だった。これは都市を人間生活の主要な場とみなし「空間」をデザインしていた。しかし現在では、Web空間も主要な場となっている。Web空間では「空間」のデザインというのは意味がないため「情報化という地域づくり」では主に「集団」をデザインするものとなっている。実空間であれば、駅などの都市施設を適切に配置する空間コントロールが必要であり、市民の介入する余地が少なかった。だが、Web空間は利用できる場所に制限がないため、場をどう設計するかに関心が集まる。こういった、参加者自身に「場の設計」を促進し、運用させるのが地域情報化である。
この本の中で、「富山インターネット市民塾」という活動が紹介されている。これは、生涯学習の地域プラットフォームである。この活動は、eーラーニングを取り入れて「誰でも講師になって講座を開くことができる」という特徴がある。経験や独自のノウハウはあるが講師の経験がない人に対して、ノウハウを提供してオリジナル講座を開催できるように支援している。講師を体験するなかで普段意識しない地域のことをみつめなおす機会となる。
こういった活動は、市民同士が教えあう場を提供することで、地図上の境界線の曖昧な繋がりではない新たな繋がりを生み出していると考える。(863字)
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c1202178 星川幸之介さん (8ez3hvcw)2022/8/3 16:07 (No.493956)削除
今野春貴『ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪』文春新書、2012年

ブラック企業問題が社会に広がる以前、若者の雇用・労働問題は、非正規雇用の広がりがその中心を占めた。非正規雇用の若者は「フリーター」と俗称されて、彼らはまじめに働こうとせず、自ら安易な労働に従事してるいるとされた。また、「フリーター」だけではなく、まじめに働こうとしない若者の代表格として「ニート」なる言葉も発明された。「ニート」とは、働きもせず、通学もしてない35歳未満の者を指す言葉として使われ、いわゆる「引きこもり」のようなイメージとて広がった。非正規雇用の増加に伴い、ブラック企業が増えていった。そこで筆者は2006年に、大学の仲間と共にNPO法人POSSEを設立し、若者自身の手で労働相談活動や調査活動を開始した。フリーターの広がりと、政策論のずれに、1人の若者として強い危機感と憤りを覚えたことが、著者の動機であった。NPOを立ち上げて後、著者は1500件を超える労働・生活相談にかかわり、数多くの調査活動を手掛けてきた。ブラック企業が個人としての若者に対して、どのような害悪をもたらすのかを見てきた。ブラック企業から身を守るには、冷徹なまでの「戦略的思考」が必要になる。戦略的思考の第一は、「自分が悪いとは思わない」。第二は、「会社のいうことは疑ってかかれ」。第三のは、「簡単に諦めない」。第四は、「労働法を活用せよ」。第五は、「専門家を活用せよ」。ブラック企業問題とは、成長大企業による大量採用・大量解雇によって若者が使い潰されるという問題である。だが、労働相談を受ける中では、ひとつひとつの事案が、ただ相談者本人の問題として深刻であるばかりではなく、日本社会の将来を考える上できわめて深刻な問題を含んでいるに気付かされる。問題として若く有益な人材の使い潰し。第二の問題は、コストの社会はの転嫁。こうしたブラック企業への対策として、社会的な戦略を著者が提案したい。それは、労働組合やNPOへと相談し、加入し、新しいつながりを作ることだ。
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C1212219 和島紘夢さん (8ez3588s)2022/8/3 15:57 (No.493946)削除
マイクロファイナンス 今、求められているものは (管 正広 『マイクロファイナンス 貧困と闘う「驚異の金融」』 中公新書 2009)

 本書は、マイクロファイナンス(貧困に苦しんでいる人々のための少額の無担保な融資のこと)が日本においてなぜ普及していないのか。また、身近に迫る貧困問題に直面している日本でのマイクロファイナンスの実践と普及の可能性について考察されたものである。
 著者の菅 正広氏は、1976年に東京大学 経済学部 経済学科を卒業し、1984年に英ケンブリッジ大学 修士課程修了している。その後大蔵省などで勤め、2019年から明治学院大学 法学部法律学科にて教授をつとめており、マイクロファイナンスやソーシャルビジネスを専攻している。2017年に貧困・生活困窮者支援のマイクロファイナンス機関「グラミン日本」の創設に携わり、活動を重ね、多くの経済的貧困を抱える人々を支援してきた。2021年に会長の座を退任している。
 GNP(一国で一年間のうちに生産された財貨やサービスの総額、国民総生産ともいう)が当時は世界第二位(現在第三位)である日本において、貧困はないのではないかという認識は強く存在している。貧困は、食べるものがない状態のことで、日本には世界的レベルでは一人も貧困な人はいないのではないか?このような認識が多いのではないだろうか。まず、日本には事実として貧困は存在している。相対的貧困という全家計所得の平均の半分以下の所得しか得てない状態と定義されるもので、日本人の六人に一人が貧困状態であると判明しているのである。しかし、日本では貧困は運が悪かった、怠けて努力が足りなかったから、だから自業自得で自己責任という考えがあるためマイクロファイナンスが普及しないのだという。
 私たちにできることとして本書では三つのルートが示されており、一つ目が著者が行ったマイクロファイナンス機関の立ち上げである。二つ目はその機関に対する募金や融資による資金支援である。三つ目はマイクロファイナンス機関や貧困への支援を行う企業には「YES」、望ましくない企業や金融には「NO」という意思表示をすることである。私たち一人一人が行動を起こすことで貧困をなくすことができるのである。(876文字)
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佐藤翔斗さん (8eq5fx0j)2022/8/3 15:53 (No.493937)削除
社会における性風俗の存在意義
坂爪真吾
『性風俗のいびつな現場』
株式会社筑摩書房、2016年

私は、別に犯罪に走らなければ性に関することは何も問題ないし、ムラムラする、エロいと言った気持ちだって動物なので当たり前だと思う。しかし、人間は生活していく上でそのような気分になってすぐにするということはできない。そのために風俗と言われるものがあると思っている。
人間は何のために生きてるか  最大の目的はもちろん人間のみならず動物全てだが子孫の残すことだ。そのため猿は発情期になるとお尻が赤くなってオスの猿を誘き寄せる。人間もそれと同じで胸でアピールしているわけだ。だから胸を見て何も感じない人(男)の方がむしろ異常で普通は凝視したりよからぬことを考えたりすると思う。そして溜まりに溜まったエネルギーを発散する場が風俗などだと考える。
 そもそもここで働いている人は家族のために、生活していくために、給料が高いがために働いている人もいる。そのような意味では社会に捨てられた女達がここで働くいわばありがたい場所であるとも言える。黙ってても沢山の男がくるし、短時間で稼げるなら働くのは当然だし人によってはwin-winなのかもしれない。
 一方、ここで働いている人は不特定多数の人と本番寸前までする訳だ。そうするともちろん性病のリスクが上がり広がっていく可能性もあるし隠語を用いて本番行為に及ぶ問題もある。別に家でしたりするのは問題はないがもちろん会社として経営しているため規則は守らなければならない。
 また、それを機に待ち伏せされ強姦や性的暴行、レイプなどの問題に発展することもあるし、風俗がないがために我慢していると世の男の中では街中で人を襲って行為に及んでしまう人も出るから性風俗は必要だと感じた。
774字
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c1200268 伊藤美羽さん (8ez0y0ie)2022/8/3 14:56 (No.493895)削除
学校外の学びの場 奥地圭子『明るい不登校 創造性は「学校」外でひらく』(NHK出版、2019)

 本書は、不登校を通して、学校外での学びに対する考え方や、学校や社会のあり方を見直すべきだと呼びかけている。
 学校側や多くの親御さんには子どもの不登校は「暗い問題」だと感じ、国は子どもたちを学校へ行かせようと様々な施策を講じてきた。一方で、学校以外の「多様な学びの場」があると知ると子どもたちは明るくなる。
 著者は「学校への復帰」を前提として施策だったこと自体が、不登校の子どもの数の増加に繋がったと考えている。また、世界的には学校外での学び・育ちが実際的な可能性を認めらながら市民権を得てきており、日本は近年になって気がつき始めたという歴史的な転機の局面だと感じている。現在の日本の社会は、学校に「行かなければならない」という考えは強く感じられ、私自身もそう思っていたが、我慢して学校に行かなくとも社会で生きていけるという考えを持てる。
 著者たちは、子どもたちが生きていて良いと思える・安心してこれる居場所であるフリースクール「東京シューレ」開設した。「居場所でありたい」「やりたいことを応援する」「子どもの自己決定権を尊重する」「子どもの場は子どもで創る」「違いを尊重しあう場でありたい」を理念としている。ここでは、服装・髪型・持ち物は自由、子どもたちが希望する学びたいこと・したいことを時間割のようにまとめたプログラム表があり、基本的に子どもたちの発案で活動や場を創っており、参加自由なミーティングで決めている。
 一方、学校外での居場所・学びの場が必要であると主張してきた東京シューレが、私立中学校「東京シューレ葛飾中学校」を創った。反対意見も出たが、長年の問題「二重籍」の解決のため・子ども中心の教育を拡げられることから創られた。不登校経験者でないと入学できないことが特色で、子どもたちが中心となって創り続ける学校である。
 我が子が不登校気味だと感じた親御さんに目を通して貰いたい1冊。この本が、一人でも多くの親御さんや当事者である子どもたちに何らかの形で届くことを願いたい。(837字)
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